アジアフォーカス・福岡国際映画祭

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2019年9月13日(金)~9月19日(木)

ニュース

2019.10.3

ディレクター懇談②『アルファ 殺しの権利』『それぞれの道のり』ブリランテ・メンドーサ監督

『アルファ 殺しの権利』英題:Alpha,Right To Kill(フィリピン)
『それぞれの道のり』英題:Journey
監督:ブリランテ・メンドーサ

観客も映画の一員に!臨場感あふれるメンドーサ・マジック

45歳という遅咲きのデビュー以来、世界中の映画祭を席捲。今やフィリピン映画界をけん引し、世界的な映画監督となったメンドーサ監督。10年ぶりの来福では2本の新作を携えて登場! そして、本映画祭の特別企画としてメンドーサ監督による独自の映画制作の技法や映画に対する想いを披露するマスタークラス(講演会)を開催しました。

フィリピン、マニラの闇深き薬物戦争を暴いた衝撃作『アルファ 殺しの権利』は、本映画祭で観客による投票第2位にあたる「熊本市賞」を受賞。『それぞれの道のり』はフィリピン映画生誕100周年を記念して製作された作品です。フィリピン・アートシネマの巨匠、ラヴ・ディアス監督、キドラット・タヒミック監督とともにつくりあげた“旅”をテーマにしたオムニバス作品で、三人三様の個性が際立っています。

映画『アルファ 殺しの権利』より

『アルファ 殺しの権利』はスクリーンから決して目が離せない、ハラハラドキドキのシーンの連続。臨場感を何よりも大切にするメンドーサ監督は、現地の警察の協力も経て、ほぼ実際の警察署で撮影をしたと言います。度重なるどんでん返しの展開に、Q&Aでは観客から感想や質問がひっきりなし。「誰が犯人か?」「誰が悪人なのか?」という観客からの質問に、「いわゆるいい人、いい市民が必ずしも良い行いをするわけではない。誰が犯人なのかは関係ない。どの人間も善悪どちらの立場に一瞬で変わることがある、そんな人生に対する皮肉が今作には込められている」と慎重に答えた監督の姿が印象的でした。

鑑賞中、手に汗握りドキドキが止まらなかったという梁木ディレクター。「なぜ、あなたの作品にはこうも吸い込まれるのか。臨場感がすざましいし、映画の中に入り込んだ気がします」との感想に、「あなたも犯人の一味だからですよ(笑)」とユーモアで返すメンドーサ監督。実は梁木ディレクターが知りたかったのは、メンドーサ監督ならではの独特な映画のつくり方。「今日はあなたのミステリーを暴きたいんですよ(笑)。メンドーサ・マジックを教えてください」と梁木ディレクターも押します。

メンドーサ監督が大切にしているのは、映画の登場人物を実在の人物のように描くこと。もともと脚本はありますが、撮影現場に入ると俳優たちに登場人物の立場になってから、話し合いを行い、解釈を重ね、また新たにストーリーを紡ぎあげていってもらうと言います。それが俳優だけではなく、撮影監督、音声、記録、美術…すべて映画に関わる人に現場で同じことをしてもらうそう。そこで新しい解釈からセリフが生まれたり、カット割りが変わったり…と変化していくとのこと。「映画に関わるすべての人がストーリーテラーになることが、臨場感を生む秘密とでもいいましょうか」とメンドーサ監督。

その緻密な作業を聞いて、驚きを隠せない梁木ディレクター。「さぞや時間的に大変では?」との問いに、「大変だけど、ちゃんとシステム化しているから大丈夫ですよ! シーンを再現するんじゃなくてリアルに見せたいんです。だからセット撮影よりもロケ現場での撮影がほとんどですね」とにこやかに答えるメンドーサ監督。「だから、あんなパーフェクトな映画ができるのか!ミステリーが解けました!」と梁木ディレクターも大いにうなずきます。

メンドーサ監督が今、力を入れているのは後進の育成です。世界各地で今回のようにマスタークラス(講演会)を開くこともあるそうですが、普段は自身のプロダクションで次世代の監督を育てているとのこと。フィリピンでは映画祭も多く開催され、今、若手監督にとってはチャンスがたくさんあると言います。しかし「一作目は撮れても、二作目が撮れない人がほとんど」だとメンドーサ監督。その理由として「ほとんどの若手が“映画をつくる”ことが目的なんです。決して“良い映画をつくる”ことが目的ではないんです」と理由をあげます。その深みのある答えに梁木ディレクターも興味しんしん。メンドーサ・マジックは人の育て方にもあるようでした。

メンドーサ監督は、若手に技術や映画論などは決して教えないとのこと。まず自分のそばでお茶くみや荷物持ちなどのアシスタントから始め、段々、映画製作に関する具体的な役割を与えていくそうで、「大切なのは技術じゃないんです。映画製作に対する姿勢、態度です。それを間近で見て、体験して学び、身に付けていってもらっています」。そんなメンドーサ監督流人材育成に、「それは師弟制度ですね!日本の落語と全く一緒です。ある意味職人を育てているんですね」と興奮する梁木ディレクター。落語を全く知らなかったというメンドーサ監督も「まさに、まったく目的とするところは一緒です!」と感心していました。最後にフィリピンの若手監督やクオリティーの高い作品を今後紹介してくれると申し出てくれたメンドーサ監督。梁木ディレクターも満足げで、和やかな雰囲気のまま懇談は幕を閉じました。

共催
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