アジアフォーカス・福岡国際映画祭

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2019年9月13日(金)~9月19日(木)

ニュース

2019.10.3

ディレクター懇談③『フンバ・ドリーム』リリ・リザ監督

『フンバ・ドリーム』英題:Humba Dreams(インドネシア)
監督:リリ・リザ

夢、伝統、文化、社会―いくつものレイヤーが彩る青春ムービー

本映画祭の常連、リリ・リザ監督。本作上映後には監督に一目会いたいとサイン会には長蛇の列が。観客一人ひとりに笑顔で丁寧に応えていた監督はまさに福岡の人気者。本国ではインドネシアを代表するスター監督です。D懇談の開始時には、ホッとした表情で「やっぱり福岡に来ると落ち着くね」と梁木ディレクターとの3年ぶりの再会を喜びました。

ここ数年、自身のプロダクションMiles Filmでの商業映画の製作、作品としての映画の製作、そして映画学校での講師業など働きづめで休日がなかったというリリ監督。『フンバ・ドリーム』はインドネシア東部の広大なサバンナの島・フンバ(スンバ)を舞台に繰り広げられる、青春ロードムービーです。実は今回初めて自身の経験を投影した作品をつくったというリリ監督。ジャカルタで映画づくりを学ぶ主人公のマルティンは、父親の遺品を整理するために島へ一時帰宅し、遺言が入っている16㎜フィルムを家族に託されます。最初はジャカルタにすぐにでも帰りたい一心のマルティンでしたが、フィルムを現像する薬品が見つからず、亡き父のオートバイで島内をめぐることに。そんな中、さまざまな人との出会いや記憶に触れる中、だんだんと自分のルーツを肌で感じていく主人公の姿が、美しい映像と音楽とともにスクリーンに映し出されました。

映画『フンバ・ドリーム』より

25年前は主人公と同じく映画学校の生徒だったリリ監督。村の人々を16㎜フィルムで記録していた主人公の父親のように、リリ監督のお父様もインドネシア政府の一機関で映画を使った教育・広報活動を行っていたと言います。「ただの自分探しのロードムービーではないですよね。いろんな要素がちらばっていて、映画監督になりたい人にはヒントがたくさんつまっている。教育的な作品とも言えると思うんですよ」と感心する梁木ディレクターに、「そう!ステレオタイプではなく、多様性を全面に打ち出して、インドネシアの別の側面を映画というメディアを通じて観客に伝えたかったんです」と熱く応えるリリ監督。

どこまでも広がるサバンナの草原、昔から受け継がれた生活を営む村人の姿、民族衣装をまとって馬をひき、村全体で亡き人を悼む荘厳な葬儀など、臨場感たっぷりに描かれた本作。それらはすべてフンバ島の人々の現在の姿そのものだと聞いて、驚く梁木ディレクター。リリ監督の現在の拠点はジャカルタではありますが、今後はインドネシアの各地の伝統や文化が根付く場でリージョナルな映画づくりをしたいと語ります。

現在、リリ監督は自ら学んだ映画学校で教鞭をとっていますが、「この映画自体が“先生”のようなんですよ。映画づくりへのリスペクト、故郷に対する想いへの表現など、さすが、リリ・リザの映画という感じですよね!」としきりに感心する梁木ディレクター。政治や社会がジャカルタに一局集中している現状や、村の男性が家族を置いて出稼ぎに行っている事実、伝統や文化が若者に軽んじられ、受け継ぐ人が減ってきている状況など、主人公の心の動きを追いつつも本作はいくつものレイヤーによって成り立っています。「観ている人はインドネシアの今や、知らない側面を知ることができるし、あのフンバ島の美しい風景を見ていると、観光客の呼び込みにも使えるじゃない(笑)!ほんと、ぜいたくな映画ですよ」と梁木ディレクターの言葉に、「おっしゃる通りです(笑)。現地のツーリズム関係とも協力し合うのも、私の映画づくりの戦略の一つです」とリリ監督もニッコリ。

懇談はインドネシアの映画製作の現状話へ。東西5,000㎞に渡る島々に人口2憶5,000万人が暮らしていますが、そのうち85%が首都・ジャカルタのあるジャワ島で生活しているといいます。映画が年間100本つくられるとしたら、95本がジャカルタを舞台とした作品で、グローバリゼーションへの方向へ突き進む中、リージョナルな映画をつくろうという監督がほとんどいないとリリ監督。また宗教や因習、習慣など多様性が根付くインドネシアで、イスラム教の勢力が拡大してきたことで、映画づくりの方法も変わってきているといいます。そんな中「私は商業映画を撮っている時も、従来の方法ではなく枠を超えたいといつも思っています。映画人として、映画のつくり方は一つじゃない、いろんな方法があるということを、リスクを背負ってでも伝えていきたい」とキッパリ。

今、インドネシアでは新しい世代が育ってきているそうで自主映画で撮りたい作品にチャレンジするアート系監督も増えてきているとのこと。「インドネシア映画界においてリリの役割は本当に大きいよね」という梁木ディレクターに、第25回本映画祭でも上映された、インドネシア・ニューシネマの夜明けともいわれる伝説の作品、リリ監督ら4人の監督によるオムニバス映画『クルドサック』(98)の資料集をリリ監督がプレゼント。時間を忘れ、夜遅くまで続いた懇談は2人の熱い友情のハグで締めくくられました。

共催
  • ASIA center
助成
  • 芸術文化振興基金
特別協賛
  • 西日本シティ銀行
  • 公益財団法人 西日本国際財団
  • 福岡地所株式会社
  • 株式会社福岡リアルティ
協賛
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  • KONICA MINOLTA
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