ニュース・トピックス

「女神は二度微笑む」(カハーニー/物語) いよいよ5月2日福岡公開です

先日,このブログでもお伝えしていましたが、2012年アジアフォーカス・福岡国際映画祭上映作品の「女神は二度微笑む」(アジアフォーカスでは、「カハーニー/物語」のタイトルで上映)がいよいよ福岡でも5月2日(土)よりKBCシネマで公開になります。先日もご紹介しましたが、「極上のサスペンスエンターテインメント」の謳い文句のとおり、最後まで目が離せない作品です。映画祭でご覧になった方もご覧になってない方もこの機会にぜひ劇場に足をお運びください。
上映スケジュールなどはKBCシネマのHPをご確認ください。

KBCシネマHP

http://www.h6.dion.ne.jp/~kbccine/

「女神は二度微笑む」公式サイト

http://megami-movie.com/

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「女神は二度微笑む」(カハーニー/物語) 近日福岡公開@KBCシネマ

2012年アジアフォーカス上映作品が先月より劇場公開されています(渋谷ユーロスペースにて2月21日より)。福岡では日程は未定ですが、KBCシネマで公開予定。「カハーニー/物語」あらため「女神は二度微笑む」というタイトルになっています。歌や踊りのシーンのないインド映画としては比較的短め(?)の映画ですが、「極上のサスペンスエンターテインメント」の謳い文句のとおり、最後まで目が離せません。映画祭でご覧になった方もご覧になってない方はもっと、ぜひ劇場に足をお運びください。

http://megami-movie.com/index.html

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FOCUS ON CINEMA⑳【KANO〜1931海の向こうの甲子園〜〈台湾〉舞台挨拶&トークライブ】

監督:マー・ジーシァン
俳優:永瀬正敏、坂井真紀

 

「あきらめない心」、「前に進む力」を感じる作品


1931年、日本統治時代の台湾から甲子園出場を果たした日本人、台湾人(漢人)、台湾原住民による「嘉義農林学校」野球部の感動の実話をベースに描いた意欲作。本作が長編デビューとなる若き台湾映画界のホープ、マー・ジーシァン監督と鬼監督・近藤兵太郎を熱演した俳優の永瀬正敏さん、近藤監督を支える妻を演じた坂井真紀さんの3人が舞台挨拶に登場。上映前の会場全体が熱気に包まれました。

「はじめまして。今日はありがとうございます。どうぞよろしくお願いします」と、第一声、日本語で丁寧に挨拶してくれたジーシァン監督に、客席からは温かい拍手が。

今回、監督が福岡を訪れるのは2回目とのこと。初来福の時は、撮影前に王貞治さんを訪問したといいます。台湾では3.5億台湾ドルの興行収入を得て、大阪アジアン映画祭、台北映画祭ともに観客賞を受賞している本作。台北では上映年にすでにアンコール上映も行われたそうです。

「この作品は日本と台湾双方の歴史と記憶を辿る映画です。アジアで上映されること、ここにいる皆さんと作品を共有できることを心から嬉しく思います。野球を題材にした作品ですが、人生のいろんな局面で“あきらめない心”、“前に進む力”をもらえる映画だと思いますので、どうぞ楽しんでください」

監督によるメッセージが贈られる中、その言葉を見守る出演者2人の笑顔から、映画づくりがいい雰囲気で進められていったことがうかがえます。そんな2人について監督は、「文化の異なる国の人間同士が“映画を仕上げる”という同じ目的を持って進む中、いろんな苦労はもちろんありましたが、日本人のプロ意識を学ばせてもらいました。長編映画を初めて手がける私に、2人は撮影中も積極的に助けてくれましたし、心の距離が縮まっていくのを感じました。宣伝にも全力で協力してくれました。心から感謝しています」と、胸に手をあてて感謝の言葉ばかり。

それを受けて、永瀬正敏さんは、「この映画との出会いに感謝しています。上映年にアンコール上映されることも素晴らしいことだと思いますし、台北では私が撮った「KANO」の写真展が開催されたんですが、監督とのサイン会に800人というびっくりするくらい大勢の人たちが駆けつけてくれたんですよね。出演の野球部員一人ひとりにファンがついていることがすごく嬉しかったです」と、言葉を返しました。ちなみに、永瀬さんは実際の近藤監督を知る身近な人に話を聞きに行き、厳しい監督役という役作りに励んだのだとか。当時、最先端の練習方法を取り入れ、魅力的な人物だったといいます。

続いて、司会者から坂井真紀さんへの質問。「夫に付いていくという昔の日本の女性像を演じられた坂井さんですが、顔だけで心情を伝える演技は難しくなかったですか?」との答えに、「私もこの作品でとても素晴らしい経験をさせていただいて、出会いに感謝しています。早く早く日本の方に観ていただきたい作品です。永瀬さん演じる近藤監督は、まっすぐな人なので、自然に付いていきたいという気持ちになれました」と、にこやかに話してくれました。

話は尽きない中、上映を前に永瀬さんから「映画の中の野球道具は当時のものを使ったりしていますし、“嘘のない映画”です。3時間ちょっとありますが、僕を信じてください。あっという間です」と熱く締めの言葉が投げかけられると、会場は笑いとともに拍手喝采に包まれました。

 

 

【「KANO〜1931海の向こうの甲子園〜」トークライブ】

日本と台湾の出会いと交流に感謝して

 

KANO


 

作品上映中、会場のあちこちからすすり泣きの声が聴こえ、終演後は熱い熱い拍手が贈られた本作。舞台挨拶に引き続き、マー・ジーシァン監督、俳優の永瀬正敏さん、坂井真紀さん3人を迎えて、キャナルシティ噴水前のサンプラザステージにて「KANO〜1931海の向こうの甲子園〜」トークライブが行われました。

舞台前は、広場を埋め尽くす人だかりに加え、キャナルシティ上階まで各階ごとにたくさんのオーディエンスでいっぱい!映画のあらすじが紹介されると、さっそくゲスト陣が登場。笑顔の素敵なジーシァン監督を筆頭に、パンキッシュな服装の永瀬さんと可憐なワンピース姿の坂井さんが姿を見せると、フロアにどよめきが起こり、拍手喝采に包まれました。

まず、福岡の印象について「ごはんがおいしい」と話す永瀬さんと坂井さんに続き、「親しみを感じる街ですね」と監督。「今日、坂井さんは日帰りだから、今夜は監督とラーメンを食べにいきます」と笑いをとる永瀬さんの言葉に、会場はなごやかムード。

続いて、本題の映画の話題へ。少年野球チームに所属していたというジーシァン監督。「この作品は日本の占領下における台湾の歴史ですが、同時に日本の歴史でもあります。心と心の通い合いや、夢に向かってみんなで力を合わせて立ち向かっていくという両方の歴史のいいところを肯定し、私たちはそうした素晴らしい歴史に学ぶべきだと思います」と話した後、台湾で先に起こった立法院議院占拠のこと、その期間と重なって上映を観られなかった学生のためにアンコール上映を行ったことなどを伝えました。

それに続いて、役者以外に、写真も撮る永瀬さんは台北で開催した「KANO〜1931海の向こうの甲子園〜」写真展の評判に感謝していること、台北市長主催の映画上映で、小学生たちに「厳しすぎるよ」といわれたというエピソードや現場での思い出について触れ、台湾に思いを寄せます。

「坂井さんと大沢たかおさんと3人で撮影に入ったんですが、現場のみなさんが僕たちをリラックスさせようと日本語を覚えて話しかけてくれるのがすごくうれしかったですね」と話す永瀬さんに、坂井さんも「台湾の撮影現場は、お弁当がいつも温かいし、休憩もしっかりとるという素敵な習慣。見習いたいですよね」と頷く場面も。

最後に、来年1月24日からの日本公開に向けて俳優陣からのメッセージで締めくくられました。「30年くらい役者をやっていますが、グッときてしまって最後まで観れない作品です。なぜ僕が泣けないか、僕の替わりに観てもらえれば意味がわかってもらえると思いますので、ぜひこの映画に触れて、作品を愛していただければと思います」(永瀬)

「人間が熱くて、まっすぐで一生懸命でグッと来る作品です。きっとファンになる部員が見つかると思いますよ。私自身、出演していながら、今日も大泣きしてしまうというこの映画の大ファンなんです。一ファンとして“ぜひ観てください”と言いたいです」(坂井)

「映画館でお会いしましょう」と、盛大な拍手の中、3人ともに笑顔で手を振りながら会場を後に。あっという間の30分。映画と同じ温もりを感じる、交流のひとときでした。

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FOCUS ON CINEMA⑲【ふしぎな岬の物語〈日本〉特別試写会】

原作者:森沢明夫
プロデューサー:富永理生子


 

人のつながりの温かさを描いた至福の物語


第38回モントリオール世界映画祭での、審査員特別賞グランプリとキリスト教関連団体が贈るエキュメニカル審査員賞のダブル受賞ニュースに日本中が沸いたのも記憶に新しいところ。人のつながりの大切さを味わい深く描いた「ふしぎな岬の物語」。10月11日の公開に先駆けて開催された特別試写会では舞台挨拶が行われ、多くのファンが詰めかけました。

今回は主演の吉永小百合さんが企画から携わり、監督の成島出さんと共に“温かなつながり”について何か表現したいと探して出合ったのが、映画の原作となる森沢明夫さんの小説「虹の岬の喫茶店」でした。森沢さんは「原作が映画化されると決まった時、心の中で花火がドーンと上がりました。映画祭で受賞のニュースを聞いた時は、やった!というより、吉永さんおめでとう!という気持ちでした」と語り、実際ロケ現場で吉永さんに会った時は、あまりにも気さくなので驚いたそう。プロデューサーの冨永理生子さんは「吉永さんは映画界の大先輩。プロデューサーとしても女優としても完璧で、とにかく素晴らしいのは人間としての気のつかい方。助手などスタッフ全員の名前を覚えていて、遠くの人にも手を振って応える…この方のためなら何でもできる!という思いでついていきました」と吉永さんの魅力を披露。

ロケは極寒の2月、阿部寛さん、笑福亭鶴瓶さん、竹内結子さんなど脇を固めるキャストもチームワーク抜群で吉永さんを中心に厳しい現場を和やかに乗り切っていたのが印象的だったと語る2人。森沢さんは小説に幸せの本質への思いを込めたといいます。「幸せは成るものではなく、気づくもの。そして人を幸せにしている人が幸せなんです。映画ではその幸せのキャッチボールを楽しむことができると思います」。日本映画ならではの温もりを感じる心地良い映画に仕上がっているという今作品。「たとえて言うなら田舎のひなびた温泉に2時間浸かっているような感覚で、映画をご覧になっていただきたいです。心の奥からほっこり温まり、至福のひとときを過ごしてください」との冨永さんのメッセージに会場全体が温かい拍手で包まれました。

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FOCUS ON CINEMA⑱【トークイベント 〜写楽をめぐって〜】

ゲスト:篠田正浩監督
聞き手:梁木靖弘ディレクター


 

江戸の町と商人文化を鮮やかにあぶり出した「写楽」


シネラのスクリーンに映し出される豪奢な江戸歌舞伎「河原者」と呼ばれる歌舞伎役者や花魁による芸能を享受する江戸商人の姿は、江戸の闇夜を照らす打ち上げ花火のように粋で鮮烈でした。

人気浮世絵師を世に売り出し、江戸の流行を拓く版元「蔦屋」の主人、蔦屋十三郎と謎多き「写楽」という絵師を通して、日本映画界としては唯一ともいえる江戸の暮らしや芸能を活写した本作。梁木靖弘ディレクターが「江戸の歌舞伎を唯一再現できている映画ですよね。製作のきっかけは?」と尋ねると、「もともと、黒澤明を描きたいと思ってたんですけどね」と篠田正浩監督。当時、写楽研究に没頭していたフランキー堺さんと話すうちに、唯一、写楽という存在を知っていた蔦屋重三郎を主人公に据えて描こうと話がまとまったといいます。

「江戸時代の商人は、士農工商の中では一番下の階級とされていましたが、自力で商売をして稼ぎ、実力で勝負してきました。人間として自立した商人や『河原者』と呼ばれる絵師や役者は、他から差別されることで逆に自由を獲得していくわけなんですが、どんな人間だろうと生まれてきて、生きて、死ぬ。そこには階級なんて関係ないんです」と持論を述べる篠田監督。「浮世絵は、私にとって映画史の前史。江戸のある時期、歌麿や北斎、滝沢馬琴など当時は無名だった彼らが同じ時代を生き、同じ場所に居合わせたという偶然を思うたび、私も自分の助監督時代を思い出すんです。当時の助監督には、大島渚や鈴木清順、吉田喜重などそうそうたる人がいましたから」。

「それとね、浮世絵は、絵師、彫り師、刷り師という各々の技を極めた職人が団結して生まれた複合的なユニット、つまりトヨタ車ができあがる過程と同じなんですよ」。この言葉には梁木ディレクターも「そういう意味では、武満徹を始めとするクリエーターをいち早く見出した篠田監督も、蔦屋重三郎のような存在ですよね」とあらためて尊敬の眼差しで見つめます。

「キラ星のごとく現れた絵師の浮世絵を面白いと感じた江戸の町人たち。それこそがこの映画のテーマですよね。単なるストーリーじゃない、江戸文化すべてを映し出しているのが『写楽』」と梁木ディレクター。「次の機会は、小津安二郎の本性をあばきたいね」。時にユーモアを交え、軽妙に映画について語る篠田監督のトークに、参加者の多くはメモをとりながら熱心に聞き入っていました。

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FOCUS ON CINEMA⑰【台湾映画大特集記念シンポジウム】

パワーと誇り、多様性にあふれる台湾映画が熱い!

(右から)チー・ポーリン氏(「天空からの招待状」監督)、クオ・チェンティ氏(「山猪温泉」監督)、シエ・チュンイー氏(「ロマンス狂想曲」監督)、張昌彦氏(大学教授、映画評論家)、梁木靖弘ディレクター



近年、アジアのなかでも、とくにヒット作品に恵まれ、熱気を帯びている台湾映画。今年は、台湾映画大特集を記念して、台湾から招待作品の監督をゲストに招き、「台湾映画の今」を語り合うシンポジウムを開催。老若男女、コアなアジア映画ファンが集い、1時間半の間、活発な意見交換を熱心に聴き入っていました。

コーディネイターである梁木ディレクターの司会のもと、まずは自己紹介から。パネラーは、シエ・チュンイー氏(「ロマンス狂想曲」監督)、クオ・チェンティ氏(「山猪(いのしし)温泉」監督)、チー・ポーリン氏(「天空からの招待状」監督)、張昌彦氏(大学教授、映画評論家)の4名。穏やかな笑顔で観客に挨拶すると、大きな拍手が会場を包みました。

シンポジウムの主なテーマは、各監督の作品が生まれたアイデアや狙い、台湾映画の監督として目指すもの。

始めに張氏が、それまで低迷していた台湾映画の火付け役となった作品「海角七号 君想う、国境の南」(2008年)の話に触れ、台湾映画事情について話しました。

「最近、台湾ではインターネットの文学者やテレビドラマの製作者の中から、映画監督が出てきているんです。長年、金馬奨の審査員を受け持っていますが、台北では短編映画が流行っていて、今年は240本以上の応募がありました。感想としては、昔と違って、『私は台湾人です』と胸を張って映画をつくっている人が多く、パワーと多様性に富んだ作品が増えているように思います。都市だけでなく、農村の風習や人の生き方といったものに焦点をあてた作品も人気ですし、『愛島精神』が際立っているという印象です」

それを受けて、監督たちも熱い想いを述べました。

中国大陸と台湾出身の男女のラブストーリーを描いた「ロマンス狂想曲」の若き監督、チュンイー監督は、「私の作品は政府の補助金を使ってつくったインディペンデント作品です。大学の友人だったプロデューサーは大陸出身で、彼女とはよく台湾と大陸の政治や文化について生じる矛盾や衝突などを冗談半分に語り合っていたんですね。私たちの年代の台湾人の多くは、そういう国家間の状況を深刻に考えていないんです。ちょうど大陸から台湾への旅行が解禁になったことも重なって、若者の目から見た中国大陸と台湾のことを描いてみたのが、この作品です」

チュンイー監督もまた、「海角七号 君想う、国境の南」を引き合いに出し、映画産業において商業ベースにのせ、しかもいかに芸術性のある作品仕上げられるかが僕らの課題だと話します。台湾のローカルな文化が受け入れられるようになった今、これからの作品では市場の大きい大陸をはじめ、他国での上映も狙っていきたいと意気込みを見せました。

次に、「山猪温泉」の監督、クオ・チェンティ氏へバトンタッチ。被災地の農村と村人の生き方について描いた本作。

「この脚本を書き始めた当時は、商業的なコメディを考えていたんです。でも、村でのフィールドワークを重ねていくうちに、都市に生きるホワイトカラーの人たちは、こうした貧しい村のことを理解できていないだろうという思いが沸々とわいてきたんですね。それで2年経つうちに、リアリズムを追求した脚本へと変わっていきました」

資金集めが困難といわれるドキュメンタリーの世界。科学技術者や登山愛好家など環境や未来に関心の高い人にお願いし、何とか20人ほどの出資者が集まって作品が完成したといいます。文化局の局長からは「スタッフみんなが1人で3人分くらいの働きをしているこの映画は、かかった予算の3倍分の価値がある」と言ってくれたそうです。「台湾人スタッフみんなの情熱でもって、形になった作品」と話す監督の表情に、台湾人としての誇りが見て取れました。

最後に、「天空からの招待状」監督、チー・ポーリン氏。もともと「國道新建工程局」の局員として、長年航空写真を撮り続けてきたポーリン監督。「環境問題に若者が関心を示さない」状況を憂えながらも、自分の家を担保にして億単位の巨額な空撮資金を集めようと使命感に燃えます。その必死さに心を動かされ、エグゼクティブプロデューサーになってくれたのが、映画界の巨匠、ホウ・シャオシェン氏でした。

「シャオシェン監督をはじめ、多くの監督と企業家の方々に支援してもらいました。上映前は800万台湾ドルを見込んでいた作品ですが、いざ上映してみると、2億台湾ドルの収益を得ました。映画館で上映されること自体が驚きなのに、成果を出せたことは、何より『歴史の記録』して非常に重要なことですし、これからのドキュメンタリー界に希望をもたらせたのではないかとも思います」

台湾の美しい自然風土と相反する負の遺産を空撮で捉える本作。過去に、大阪で3回上映された時、チケットはすべての回でソールドアウトになったそうです。

「日本の方々が観てくれたことで、日本と台湾が互いに好意を持っていることを嬉しく感じました。この映画は言葉の壁を感じない作品ですし、どこの国で上映されても、環境を守りたいというメッセージは伝わると信じています」と、笑顔で話しました。

ちなみに、今年の12月に日本での公開が決定し、ナレーションは俳優の西島秀俊さんが担当。「ぜひ自分にやらせてほしい」と本人からの強いアプローチがあったのだとか。

 

Q&Aでは、「日本映画で好きな作品は?」との質問に、現代の監督の作品を挙げる監督が多い中、「ぜひ昔の日本映画のよさに触れてほしい」との観客からの意見も飛び出しました。

最後に、梁木ディレクターによるまとめの言葉は、本映画祭の開催中、「郊遊<ピクニック>」のツァン・ミンリャン監督との懇談でも話題に上がったメッセージでした。

「映画には『観るという行為』が大事です。今は消費されるための映画が多いですが、人生や人間同士のコミュニケーションなど社会の中で急速に失われていっている本質的なものを取り戻していくことが、私たちの役割ではないかと思います。ゲストの皆さんの作品をはじめ、このアジアフォーカス・福岡国際映画祭で、そういった映画をたくさんの人に観てもらえるように努力していかなくてはと思います」

その言葉にゲスト陣も頷きながら、会場からの温かな拍手の中、シンポジウムは締めくくられました。

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協賛企画☆福岡フィルムコミッション支援作品『sala』プレミア上映!

オープニングセレモニーにも登場してくださった杉野希妃さんが
プロデューサーであり主演をつとめる『sala(サラ)』のプレミア上映会を開催します!

今回は2013年に福岡市と糸島市がロケ地となった作品を全国に先駆けご紹介します。

会期中1度のみの上映となりますので、この機会にぜひご覧ください!

 

sala

上映日時:9月17日(水)10:00〜
会  場:ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13 13番スクリーン

※映画祭チケットでご覧いただけます。


あらすじ:
咲良は自身が性的少数者であることに気付いていない。大抵の女性が魅力を覚える男らしさは、彼女に嫌悪感を抱かせるものでしかなかった。教師として勤務する女子校で、女生徒の思いを受け入れ肉体に触れてみたこともあるが、官能を与えてはくれなかった。ある日、彼女のもとに警察から連絡が入る。幼い頃に離別した実父・充が暴行事件に巻き込まれて重傷を負ったのである。唯一の身寄りである咲良は、充の保険証を取りに彼の自宅に向かい、そこで一人の少年に出会う。少年愛者の充が誘拐し監禁した少年だった。

監  督:和島香太郎
出  演:杉野希妃/太賀/佐野史郎/山本剛史
作品情報:2014年/72分/日本

 

★フィルムコミッションとは・・・
映画やテレビ番組等の撮影を円滑に行うための支援組織。撮影誘致・支援活動の窓口として、地域の経済・観光振興に大きな効果を上げています。

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FOCUS ON CINEMA⑯【私は彼ではない〈トルコ/ギリシャ/フランス〉ディレクター懇談】

監督 タイフン・ピルセリムオウル

 

受け身ではない、観客自らが一歩入り込む映画

 

エンジニアを育成するトルコ中東工科大学卒業後、ウィーンで美術を学び、その後、小説や脚本を書きながら映画の道へと足を踏み入れたタイフン監督。恵まれたリベラルな環境で育った監督が作りたい映画は、ハリウッドのような派手な映画ではなく、観客自らが映画の中に入って考えるという作品。

「構造的な面でも、内面の葛藤を描かないという主人公像も、とても面白かったです。観れば観るほど新しい発見があって、まるで日本の小説家、安部公房の世界を彷彿させました」と梁木ディレクターが言えば、「嬉しいです。安部公房は知っていますよ」と表情を和らげます。「偶然が重なって思いもかけない方向にすすんでいくラビリンスのような世界を描きたかったんです。それと私は主人公の内面を感傷的に描くよりも外側で起きたことを描きたいと思いました」。

上映後のQ&Aでは“退屈な映画だった”という声もありましたが、観客の方に歩み寄って取引するような映画は作りたくないと監督は言います。それについては梁木ディレクターも「僕も受け身でいられる映画ではなく、謎が多い方が好き。また突然何かが起こる、伏線を張らないのもいいですよね」と意気投合。「私は、観客の側がフレームの世界に一歩踏み込んできて欲しいと思っています。人生はループのように繰り返し繋がっているもので、ある所まで来ると劇的に変わりますが、それは次のループに入ったということ。私が思う映画は、監督と観客がダンスをしながら近づき、出会うこと。綱渡りのロープダンスのように危険だけど(笑)」

実は、今回の来福が初来日というタイフン監督。「福岡には、来るべくして来たという気持ちがしています。皆さんフレンドリーで、食べ物も美味しい」とご機嫌の様子。明日は屋台に行ってみようと福岡の毎日を満喫されている監督でした。

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FOCUS ON CINEMA⑮【神の眼の下(もと)に〈韓国/カンボジア〉Q&A】

プロデューサー:キム・ヒョヌ
男優:オ・グァンノク


 

遠藤周作の小説「沈黙」にインスピレーションを得たイ・ジャンホ監督の作品

(左より)オ・グァンノフ、キム・ヒョヌ



韓国リアリズム映画の巨匠、イ・ジャンホ監督が19年ぶりにメガホンをとった注目作。敬虔なクリスチャンである監督が、遠藤周作の小説「沈黙」にインスピレーションを得て製作した作品で、宗教か命かという選択を迫られる難しいテーマに観客の質問も熱を帯びたものになりました。

 

Q:基本的な知識という範ちゅうでの質問ですが、キリスト教とイスラム教の神は元々同じだったはずですよね。しかし対立の激しい様子を見て、お互いにそういった認識はないんだなあと思いました。ロケ地であるカンボジアのスタッフはどう受け止めていたんですか?

プロデューサー:宗教的な話をすると長くなりますので、個人的な話をします。旧約聖書に書かれていることは同じでも、解釈の仕方の違いでそれぞれの宗教があると思いますが、どちらの宗教も唯一神を崇めるところは同じです。その点で衝突も多いんだと思います。宗教色が強い映画を製作するにあたり、いろいろ準備を行いましたが、最初ロケ地はインドネシアの予定でした。しかし事前調査に行ったところ、現地ではイスラム教徒が多く、撮影は危ないと感じ、カンボジアになったんです。

男優:映画をご覧になるのも苦労されたと思います。私は宗教を持たない人間なので、2つの宗教を中立的な立場で捉えることができました。作品をつくる俳優としても、現代を生きる人間としても、自分の正義と信念について考えながら役作りに臨みました。

 

Q:宗教を持っているがゆえに魂が救われるところを、逆に苦悩しているように感じました。主人公が最終的な道を選んだ理由は何でしょうか?

男優:この映画のスタッフの半分がクリスチャンで、半分がそうでない人たちです。映画製作において、宗教観はとてもデリケートな問題なので気をつけながら映画をつくりあげていきました。私が演じた宣教師・ヨアンは12年前、医療奉仕の為、東南アジアのある村を訪れますが、命乞いの為に宗教を捨ててしまいます。その後、自分の信念とアイデンティティーが混乱し、韓国にも戻らず、家族にも会わなくなってしまいました。しかし、今回の事件を経て彼は大きく変わっていきます。そして彼は自分の魂を自由にしたいという思いで一つの道を選ぶのです。最初シナリオを見た時、これは別に宗教がどうこうではなく、自分の信念と葛藤しながら生きていく現代の人々の姿だと思いました。

 

Q:宣教団のメンバーには若い方も多いですね。街中で事件のニュースが大型スクリーンで流れる場面がありますが、若者たちが気にしていない感じに見えました。実際、韓国での若者の信仰心の格差はありますか?

プロデューサー:実は、韓国は仏教の国なんですよ。でもいろんな宗教を信じている人がたくさんいます。物語の宣教団のように新しい考えを持ったキリスト教の一派もいます。宗教は信じる人も信じない人もいます。ニュースのシーンはCG合成なので、若者たちがあの事件を見ているわけではないんですよ。おかげで街がパニックにならなくてよかったですけど…(笑)。映画づくりはお金がかかるんです(笑)。

衝撃的なラストシーンを迎えた後、圧倒的な演技力で魅せたオ・グァンノクさんが会場ににこやかに登場すると、会場からは安堵したかのようなため息がもれました。また映画のエンドロールに「パク・ヨンシクに捧ぐ」という文言が出てきますが、こちらは長老役で出演した俳優が、撮影の1カ月後にロケ地でかかった病気で亡くなったということからだそうで、この映画に関わった人たちにとって忘れられない作品となったようです。

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FOCUS ON CINEMA⑭【ジャングル・スクール〈インドネシア〉ディレクター懇談】

撮影:グンナール・ニムプノ

 

実在の女性をモデルにしたリリ・リザ監督の最新作

 

祖国インドネシアを舞台にした映画を撮り続けるリリ・リザ監督を、友人としても、映画人としても、心から尊敬していると語る撮影監督のグンナール・ニムプノさん。2003年製作の実験的な映画「ドゥルパギ」で初タッグを組んで以来の仲だそうです。「あの作品は、自分が手がけた仕事の中でベストな一本。最近ではリリ・リザもドラマの手法で脚本をかためてから撮り始めるようになりましたが、当時はフィクションとドキュメンタリー、現実と架空をミックスした世界を描き、フレームに化学反応を生み出していました。でもある意味、本作品も伝統的な映画製作と実験的なやり方をミックスした映画といえるでしょう」と大きな瞳を輝かせます。

ブテット・マヌルン氏という実在の女性をモデルにした本作品は、監督の真摯で綿密な取材によって実現したそうです。「ご本人もものすごく大好き!と言ってくれました。繊細な感性の持ち主で、いつもすぐに感動して涙を流す人なのですが、今回、この映画にも強く感情を揺さぶられたと語ってくれました」とグンナールさん。

これまでリリ・リザ監督の映画を観てきた梁木ディレクターが、「彼は教育の重要性を繰り返し説いている。近代化の光と陰、教育はその両方を背負っていると思う」と指摘すると、グンナールさんも「まさにその通りです。リリ・リザとはもう5年以上もの付き合いになりますが、彼は若い世代に自分の知識を惜しみなく伝えるワークショップにもとても熱心なんです。彼から学ぶことは、撮影以外でもとても多いですね」。

しかしながら、日本の教育は今、先の見えない危機的な状況にあるのも事実。「一般化するのではなく多様性を受け入れることが大切。リリ・リザの活動は、若い世代が地元に根づき、メディアを使ってクリエイトしていくモデルケースになるのではないか」とグンナールさん。「リリ・リザ監督には、ぜひ文化大臣になって映画や芸術文化を盛り上げていって欲しいなあ」という梁木ディレクターの発言に、「いえ、大臣なら、プロデューサーを務めたミラ・レスマナさんの方が適任でしょう(笑)」。「そりゃ、そうですね」。大笑いで幕を閉じた懇談のひとときでした。

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