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FOCUS ON CINEMA⑳【KANO〜1931海の向こうの甲子園〜〈台湾〉舞台挨拶&トークライブ】

監督:マー・ジーシァン
俳優:永瀬正敏、坂井真紀

 

「あきらめない心」、「前に進む力」を感じる作品


1931年、日本統治時代の台湾から甲子園出場を果たした日本人、台湾人(漢人)、台湾原住民による「嘉義農林学校」野球部の感動の実話をベースに描いた意欲作。本作が長編デビューとなる若き台湾映画界のホープ、マー・ジーシァン監督と鬼監督・近藤兵太郎を熱演した俳優の永瀬正敏さん、近藤監督を支える妻を演じた坂井真紀さんの3人が舞台挨拶に登場。上映前の会場全体が熱気に包まれました。

「はじめまして。今日はありがとうございます。どうぞよろしくお願いします」と、第一声、日本語で丁寧に挨拶してくれたジーシァン監督に、客席からは温かい拍手が。

今回、監督が福岡を訪れるのは2回目とのこと。初来福の時は、撮影前に王貞治さんを訪問したといいます。台湾では3.5億台湾ドルの興行収入を得て、大阪アジアン映画祭、台北映画祭ともに観客賞を受賞している本作。台北では上映年にすでにアンコール上映も行われたそうです。

「この作品は日本と台湾双方の歴史と記憶を辿る映画です。アジアで上映されること、ここにいる皆さんと作品を共有できることを心から嬉しく思います。野球を題材にした作品ですが、人生のいろんな局面で“あきらめない心”、“前に進む力”をもらえる映画だと思いますので、どうぞ楽しんでください」

監督によるメッセージが贈られる中、その言葉を見守る出演者2人の笑顔から、映画づくりがいい雰囲気で進められていったことがうかがえます。そんな2人について監督は、「文化の異なる国の人間同士が“映画を仕上げる”という同じ目的を持って進む中、いろんな苦労はもちろんありましたが、日本人のプロ意識を学ばせてもらいました。長編映画を初めて手がける私に、2人は撮影中も積極的に助けてくれましたし、心の距離が縮まっていくのを感じました。宣伝にも全力で協力してくれました。心から感謝しています」と、胸に手をあてて感謝の言葉ばかり。

それを受けて、永瀬正敏さんは、「この映画との出会いに感謝しています。上映年にアンコール上映されることも素晴らしいことだと思いますし、台北では私が撮った「KANO」の写真展が開催されたんですが、監督とのサイン会に800人というびっくりするくらい大勢の人たちが駆けつけてくれたんですよね。出演の野球部員一人ひとりにファンがついていることがすごく嬉しかったです」と、言葉を返しました。ちなみに、永瀬さんは実際の近藤監督を知る身近な人に話を聞きに行き、厳しい監督役という役作りに励んだのだとか。当時、最先端の練習方法を取り入れ、魅力的な人物だったといいます。

続いて、司会者から坂井真紀さんへの質問。「夫に付いていくという昔の日本の女性像を演じられた坂井さんですが、顔だけで心情を伝える演技は難しくなかったですか?」との答えに、「私もこの作品でとても素晴らしい経験をさせていただいて、出会いに感謝しています。早く早く日本の方に観ていただきたい作品です。永瀬さん演じる近藤監督は、まっすぐな人なので、自然に付いていきたいという気持ちになれました」と、にこやかに話してくれました。

話は尽きない中、上映を前に永瀬さんから「映画の中の野球道具は当時のものを使ったりしていますし、“嘘のない映画”です。3時間ちょっとありますが、僕を信じてください。あっという間です」と熱く締めの言葉が投げかけられると、会場は笑いとともに拍手喝采に包まれました。

 

 

【「KANO〜1931海の向こうの甲子園〜」トークライブ】

日本と台湾の出会いと交流に感謝して

 

KANO


 

作品上映中、会場のあちこちからすすり泣きの声が聴こえ、終演後は熱い熱い拍手が贈られた本作。舞台挨拶に引き続き、マー・ジーシァン監督、俳優の永瀬正敏さん、坂井真紀さん3人を迎えて、キャナルシティ噴水前のサンプラザステージにて「KANO〜1931海の向こうの甲子園〜」トークライブが行われました。

舞台前は、広場を埋め尽くす人だかりに加え、キャナルシティ上階まで各階ごとにたくさんのオーディエンスでいっぱい!映画のあらすじが紹介されると、さっそくゲスト陣が登場。笑顔の素敵なジーシァン監督を筆頭に、パンキッシュな服装の永瀬さんと可憐なワンピース姿の坂井さんが姿を見せると、フロアにどよめきが起こり、拍手喝采に包まれました。

まず、福岡の印象について「ごはんがおいしい」と話す永瀬さんと坂井さんに続き、「親しみを感じる街ですね」と監督。「今日、坂井さんは日帰りだから、今夜は監督とラーメンを食べにいきます」と笑いをとる永瀬さんの言葉に、会場はなごやかムード。

続いて、本題の映画の話題へ。少年野球チームに所属していたというジーシァン監督。「この作品は日本の占領下における台湾の歴史ですが、同時に日本の歴史でもあります。心と心の通い合いや、夢に向かってみんなで力を合わせて立ち向かっていくという両方の歴史のいいところを肯定し、私たちはそうした素晴らしい歴史に学ぶべきだと思います」と話した後、台湾で先に起こった立法院議院占拠のこと、その期間と重なって上映を観られなかった学生のためにアンコール上映を行ったことなどを伝えました。

それに続いて、役者以外に、写真も撮る永瀬さんは台北で開催した「KANO〜1931海の向こうの甲子園〜」写真展の評判に感謝していること、台北市長主催の映画上映で、小学生たちに「厳しすぎるよ」といわれたというエピソードや現場での思い出について触れ、台湾に思いを寄せます。

「坂井さんと大沢たかおさんと3人で撮影に入ったんですが、現場のみなさんが僕たちをリラックスさせようと日本語を覚えて話しかけてくれるのがすごくうれしかったですね」と話す永瀬さんに、坂井さんも「台湾の撮影現場は、お弁当がいつも温かいし、休憩もしっかりとるという素敵な習慣。見習いたいですよね」と頷く場面も。

最後に、来年1月24日からの日本公開に向けて俳優陣からのメッセージで締めくくられました。「30年くらい役者をやっていますが、グッときてしまって最後まで観れない作品です。なぜ僕が泣けないか、僕の替わりに観てもらえれば意味がわかってもらえると思いますので、ぜひこの映画に触れて、作品を愛していただければと思います」(永瀬)

「人間が熱くて、まっすぐで一生懸命でグッと来る作品です。きっとファンになる部員が見つかると思いますよ。私自身、出演していながら、今日も大泣きしてしまうというこの映画の大ファンなんです。一ファンとして“ぜひ観てください”と言いたいです」(坂井)

「映画館でお会いしましょう」と、盛大な拍手の中、3人ともに笑顔で手を振りながら会場を後に。あっという間の30分。映画と同じ温もりを感じる、交流のひとときでした。

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FOCUS ON CINEMA⑰【台湾映画大特集記念シンポジウム】

パワーと誇り、多様性にあふれる台湾映画が熱い!

(右から)チー・ポーリン氏(「天空からの招待状」監督)、クオ・チェンティ氏(「山猪温泉」監督)、シエ・チュンイー氏(「ロマンス狂想曲」監督)、張昌彦氏(大学教授、映画評論家)、梁木靖弘ディレクター



近年、アジアのなかでも、とくにヒット作品に恵まれ、熱気を帯びている台湾映画。今年は、台湾映画大特集を記念して、台湾から招待作品の監督をゲストに招き、「台湾映画の今」を語り合うシンポジウムを開催。老若男女、コアなアジア映画ファンが集い、1時間半の間、活発な意見交換を熱心に聴き入っていました。

コーディネイターである梁木ディレクターの司会のもと、まずは自己紹介から。パネラーは、シエ・チュンイー氏(「ロマンス狂想曲」監督)、クオ・チェンティ氏(「山猪(いのしし)温泉」監督)、チー・ポーリン氏(「天空からの招待状」監督)、張昌彦氏(大学教授、映画評論家)の4名。穏やかな笑顔で観客に挨拶すると、大きな拍手が会場を包みました。

シンポジウムの主なテーマは、各監督の作品が生まれたアイデアや狙い、台湾映画の監督として目指すもの。

始めに張氏が、それまで低迷していた台湾映画の火付け役となった作品「海角七号 君想う、国境の南」(2008年)の話に触れ、台湾映画事情について話しました。

「最近、台湾ではインターネットの文学者やテレビドラマの製作者の中から、映画監督が出てきているんです。長年、金馬奨の審査員を受け持っていますが、台北では短編映画が流行っていて、今年は240本以上の応募がありました。感想としては、昔と違って、『私は台湾人です』と胸を張って映画をつくっている人が多く、パワーと多様性に富んだ作品が増えているように思います。都市だけでなく、農村の風習や人の生き方といったものに焦点をあてた作品も人気ですし、『愛島精神』が際立っているという印象です」

それを受けて、監督たちも熱い想いを述べました。

中国大陸と台湾出身の男女のラブストーリーを描いた「ロマンス狂想曲」の若き監督、チュンイー監督は、「私の作品は政府の補助金を使ってつくったインディペンデント作品です。大学の友人だったプロデューサーは大陸出身で、彼女とはよく台湾と大陸の政治や文化について生じる矛盾や衝突などを冗談半分に語り合っていたんですね。私たちの年代の台湾人の多くは、そういう国家間の状況を深刻に考えていないんです。ちょうど大陸から台湾への旅行が解禁になったことも重なって、若者の目から見た中国大陸と台湾のことを描いてみたのが、この作品です」

チュンイー監督もまた、「海角七号 君想う、国境の南」を引き合いに出し、映画産業において商業ベースにのせ、しかもいかに芸術性のある作品仕上げられるかが僕らの課題だと話します。台湾のローカルな文化が受け入れられるようになった今、これからの作品では市場の大きい大陸をはじめ、他国での上映も狙っていきたいと意気込みを見せました。

次に、「山猪温泉」の監督、クオ・チェンティ氏へバトンタッチ。被災地の農村と村人の生き方について描いた本作。

「この脚本を書き始めた当時は、商業的なコメディを考えていたんです。でも、村でのフィールドワークを重ねていくうちに、都市に生きるホワイトカラーの人たちは、こうした貧しい村のことを理解できていないだろうという思いが沸々とわいてきたんですね。それで2年経つうちに、リアリズムを追求した脚本へと変わっていきました」

資金集めが困難といわれるドキュメンタリーの世界。科学技術者や登山愛好家など環境や未来に関心の高い人にお願いし、何とか20人ほどの出資者が集まって作品が完成したといいます。文化局の局長からは「スタッフみんなが1人で3人分くらいの働きをしているこの映画は、かかった予算の3倍分の価値がある」と言ってくれたそうです。「台湾人スタッフみんなの情熱でもって、形になった作品」と話す監督の表情に、台湾人としての誇りが見て取れました。

最後に、「天空からの招待状」監督、チー・ポーリン氏。もともと「國道新建工程局」の局員として、長年航空写真を撮り続けてきたポーリン監督。「環境問題に若者が関心を示さない」状況を憂えながらも、自分の家を担保にして億単位の巨額な空撮資金を集めようと使命感に燃えます。その必死さに心を動かされ、エグゼクティブプロデューサーになってくれたのが、映画界の巨匠、ホウ・シャオシェン氏でした。

「シャオシェン監督をはじめ、多くの監督と企業家の方々に支援してもらいました。上映前は800万台湾ドルを見込んでいた作品ですが、いざ上映してみると、2億台湾ドルの収益を得ました。映画館で上映されること自体が驚きなのに、成果を出せたことは、何より『歴史の記録』して非常に重要なことですし、これからのドキュメンタリー界に希望をもたらせたのではないかとも思います」

台湾の美しい自然風土と相反する負の遺産を空撮で捉える本作。過去に、大阪で3回上映された時、チケットはすべての回でソールドアウトになったそうです。

「日本の方々が観てくれたことで、日本と台湾が互いに好意を持っていることを嬉しく感じました。この映画は言葉の壁を感じない作品ですし、どこの国で上映されても、環境を守りたいというメッセージは伝わると信じています」と、笑顔で話しました。

ちなみに、今年の12月に日本での公開が決定し、ナレーションは俳優の西島秀俊さんが担当。「ぜひ自分にやらせてほしい」と本人からの強いアプローチがあったのだとか。

 

Q&Aでは、「日本映画で好きな作品は?」との質問に、現代の監督の作品を挙げる監督が多い中、「ぜひ昔の日本映画のよさに触れてほしい」との観客からの意見も飛び出しました。

最後に、梁木ディレクターによるまとめの言葉は、本映画祭の開催中、「郊遊<ピクニック>」のツァン・ミンリャン監督との懇談でも話題に上がったメッセージでした。

「映画には『観るという行為』が大事です。今は消費されるための映画が多いですが、人生や人間同士のコミュニケーションなど社会の中で急速に失われていっている本質的なものを取り戻していくことが、私たちの役割ではないかと思います。ゲストの皆さんの作品をはじめ、このアジアフォーカス・福岡国際映画祭で、そういった映画をたくさんの人に観てもらえるように努力していかなくてはと思います」

その言葉にゲスト陣も頷きながら、会場からの温かな拍手の中、シンポジウムは締めくくられました。

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FOCUS ON CINEMA⑫【山猪(いのしし)温泉〈台湾〉Q&A】

(左より)クオ・チェンティ、ルー・イーチン、ウー・イーティン



監督:クオ・チェンティ
主演女優:ルー・イーチン
女優:ウー・イーティン


 

2009年、台湾南部で起きた台風の被害は記憶に新しいところです。今作は実話を基にしたフィクションで、被災地となった村の人たちが生きて行く姿が力強く描かれています。会場に監督と二人の女優が現れるとパッと華やいだ雰囲気になりました。

 

Q:台風の被害は日本でも大きなニュースになっていました。その後の復興状況はどうなんでしょうか?

監督:私たちがロケを行なった南部のシンカイ村では28名の方々が台風の犠牲になり亡くなられました。ロケは2012年の11月、12月に行なったのですが、映画の中でご覧の通り、土砂が積もっていて、まだ整備も何もされていない状況です。この時点で村人の半分は山の麓に引っ越していきました。その村は温泉宿など観光業を営む方たちが多かったのですが、被災後、村に残った人たちはエコロジーを意識した手工業での工芸品づくりなどを始め、自然と共存して生きて行こうと努力をしています。青少年が生態系の勉強ができるようにサポートしたり、自然と共に生きる人々と触れ合い、生活を体験するエコツーリングを行ったり…と、村人の皆さんたちは今とても頑張っていらっしゃいます。一回破壊された村が再生するということは大変難しいと感じました。

 

Q:映画内では梅の花がとても印象的でした。日本では冬に咲くのですが、台湾ではもっと早く咲くのですか?

監督:12月末、新年を迎える頃に咲いていましたね。梅は亡くなった父親との思い出を結びつける為に印象的な演出を行いました。また、災害にも負けず頑張っていこうという思いも込めています。2009年8月の台風の後、雨の降らない日々がずっと続き、12月に咲いた梅の香りは普段よりもとても強かったそうです。村の人々が「梅は水害に驚いてこんなに強く咲いたんだね」と言っていました。

 

Q:女優のお二人はキャスティングが決まった時どう思いましたか?

ルー:実際村に行ってモデルとなった女性に会いました。その方のご主人が台風で亡くなられたんですが、台風の前夜に口ゲンカをして台風の日、家を出ていかれてしまったんです。その後、女性はうつ病になってしまったんですね。私は彼女にどんな気持ちだったかをストレートにお聞きし、思いをくみ取っていきました。
監督:私がその彼女にインタビューをした時、一切泣かずに強く答えられていたんですが、ルーさんが彼女と話した時は積もった感情を爆発させたそうです。彼女はルーさんには心を開いたんでしょうね。感謝しています。

ウー:私の祖母が日本の茨城県に住んでいるんですが、東日本大震災の時にとても心を痛めた経験もあり、実際村人を取材する時に心の傷に触れやしないかとドキドキしながら話をお聞きしました。私のモデルは男性だったのですが、とても気丈に話してくれて、彼の思いにできるだけ近づくように役作りをしていきました。

 

一つひとつの質問に丁寧に応える姿が印象的だった3人。インタビュー中もお互い褒め合うなど、仲の良さと一つの大作を共につくりあげた絆を感じられたQ&Aでした。

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FOCUS ON CINEMA⑩【ロマンス狂想曲〈台湾〉Q&A】

(左から)シエ・チュンイー、チャン・シューハオ



 

監督:シエ・チュンイー
男優:チャン・シューハオ


 

今回の映画祭のオープニング上映会を華々しく飾ったラブ・コメディー。日曜の昼間とあって多くのファンが詰めかけました。Q&Aでは主人公役のチャン・シューハオさんが、マイクを会場の観客に直接走って届けるなど嬉しいハプニングも起きました。

 

Q:気の強い大陸女子と優柔不断な台湾男子のラブストーリーという構想はどこから得たのですか? 実際に映画で描かれているような男女はいるのでしょうか?

監督:これは私の実体験を基にしています。ニューヨークの大学に在学中に、大陸から留学していた女性に出会い、中国語を話す学生は僕と彼女だけだったのでよく話をしてましたね。この映画で主人公の二人が冗談を言い合うシーンが多いですが、それも実際に僕たちが喋っていたことです。その彼女、っていうのがこの映画のプロデューサーの一人である、グ・チャオなんですけどね(笑)。

 

Q:…ということはそれから、何か発展はあったということですか?

監督:特にそういうことはありませんでしたね(笑)。ただ良い友人にはなれましたよ。主人公の二人にはステレオタイプのキャラクターをあてはめました。一般の台湾の男性は大陸の女性にズケズケものを言う、気が強いというイメージを持っていて、大陸の女性は台湾の男性に気が弱い、曖昧、優柔不断というイメージを持っているんですね。そんな二人が実際出会ったらどうなるだろう、と想定しました。しかし、この映画では二人が人間同士心を通わせていくことによって、最終的にイメージや出身地はただの表面的なモノになっていくんです。その過程を楽しんでいただきたいし、人間は実際出会って話をしていく中でわかり合っていくということが伝わればいいなと思っています。

 

Q:主人公のアーチェンはオタクで3枚目という印象でしたが、実際のチャンさんはカッコいいですね! 相手役のホアン・ルーさんと共演された印象は?

男優:自分と全く違うタイプの役を演じるのが役者の醍醐味です。今回はオタクの友人を見ながら、アーチェンという人物をつくりあげていきました。ホアンさんは映画の中の役柄に良く似ていますが、そこまで怖くなかったですよ(笑)。大陸の女性らしくストレートな雰囲気で接してくれましたし、彼女自身が男っぽい感じだったので(笑)、リラックスして話せました。彼女や監督と、本当の大陸女子と台湾男子が出会ったらどうなるか、ということを話し合いながらつくっていくプロセスがすごく面白かったです!

 

初めて台湾映画を観たという中国出身の女子留学生から「女性の描き方がリアル!」という声も上がり、盛り上がったQ&A。日本のアニメや漫画が大好きというお二人の熱いトークも繰り広げられ、笑顔が溢れるひとときとなりました。

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FOCUS ON CINEMA④【郊遊<ピクニック>〈台湾/フランス〉Q&A】

(左より)ルー・イーチン、リー・カンション、ツァイ・ミンリャン



監督:ツァイ・ミンリャン
俳優:リー・カンション、ルー・イーチン

 

上映初日の一本目を飾る映画であり、引退表明をした監督最後の作品(予定)ということで、たくさんのファンが行列を成し、会場は満員。映画祭は華々しくスタートを切りました。監督と長年の名コンビであるリー・カンションさん、そして女優のルー・イーチンさんがサプライズで登場。ゲスト3名によるにぎやかなQ&Aになりました。

 

Q:今作品も監督独特の手法である長回しのカットが印象的で、観ている間に人生や生き方、男女の出会いなど、たくさんのことを考えさせられました。監督ご自身がこの作品を観る観客に何か求めることはありますか?

監督:私には何も言うことはありません。何をどう読み取り、感じるかはその人次第ですし、いろんな見方があっていいと思います。観終わって、何も感じなかった人もいるかもしれません。自分がどう感じるかを大事にしてください。

 

Q:監督の演技指導はいかがでしたか?

リー・カンション、ルー・イーチンともに:監督は極めてシンプルな指導しかされないので、私たちは自分なりの演技プランを実行するわけです。ですが、そのプランが尽きてきてもまだカメラが回り続けていることが多いんですね。どうしようかと思いつつも、がむしゃらに演技を続けていると、そのうちに自然と心が動いてくるんです。そのリアルさを追求されているんだと思います。

 

Q:リー・カンションさんへ。福岡の印象はいかがですか?

リー・カンションさん:初めての福岡ですが、とてもいいところですね。太宰府や筥崎宮、櫛田神社の観光を楽しみました。美味しかったのは、ラーメンと魚市場で食べた定食です。監督は人生の中で一番美味しいお寿司を食べたそうです(笑)。またぜひ来たいと思いますので、この作品が監督の最後の一作にならないことを願っています。

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FOCUS ON CINEMA②【郊遊<ピクニック>〈台湾/フランス〉ディレクター懇談】

監督:ツァイ・ミンリャン
俳優:リー・カンション


マーケットからマニュファクチャー(手工業)の世界へ

台湾映画界の奇才、ツァイ・ミンリャン監督と名コンビとして知られる主演男優のリー・カンション氏が初来福。昨年9月に引退表明を行った監督だけに、梁木ディレクターの話題は、自ずと今の映画界や演劇界に失われてしまった話題に集中しました。

「今の映画は“複雑な舞台装置と早い転換、そして物語を理解する”ということに重きをおく娯楽的、商業的なものが多いですね」と話す梁木ディレクターの言葉に、ミンリャン監督は「感じることを拒否させられてしまっている。映画には、ただひたすら“観る”という行為が大事なんです」と、さすがに本質をついた応えでした。

「私は、映画のなかで観客との距離をいかに近づけるかを常に考えています。リアルな時間の流れが生きているし、それを大事にしていきたいから」と、現在はマーケットからマニュフェクチャー(手工業)の世界へとシフト。委託運営する台北・中山堂のカフェ(蔡明亮咖啡走廊)で、オールドシネマの鑑賞会を行ったり、大学の美術ホールでは「郊遊<ピクニック>」を一日に7回連続上映するなど、芸術志向の高い若者の心を掴んでいるのだそう。

経済至上主義のマーケットと決別した今、「ここにきて20代の新たな観客層が出てきているし、彼らは台詞の少ない映画を楽しめるやわらかな頭の持ち主。ゆっくりとしたリズムの映画を理解できる傾向にある」と光明も見えてきたといいます。

「福岡でも台湾でも、黄金期と呼ばれる昔の名作をもっとアーカイブで見せるべきですね」と意気投合する2人。ミンリャン監督の好きな日本の監督として、小津安二郎、成瀬巳喜男、黒沢清、塚本晋也の名が上がり、黒澤組のスクリプター(記録係)として知られる野上照代さんとの交流話も飛び出しました。あっという間の1時間。「話の続きはまた台北で」と監督とディレクターは固い握手を交わし、再会を約束しました。

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梁木ディレクターのここが見どころ!⑤ 【山猪(いのしし)温泉〈台湾〉】

 
災害から立ち上がる人々を応援する
心温まる人間ドラマ

まず、奥深い山間部を襲う強力な台風のシーンから始まり、かなりリアルなのでドキュメンタリーではないかと思ってしまう。土砂崩れなどで村は崩壊状態。だんだんわかってくるのは、ここで小さな温泉を営む夫婦がいて、ビデオ撮影が趣味の夫は、台風を撮りに行ったきり戻ってこないこと。残された妻は途方に暮れる。温泉も出なくなり、ホテルの継続も難しい。この土地をどうすればいいのか? 地元を再生できるのか、それとも買いに来たデベロッパーに土地を売るのか……とまどいのなかで生きる人々、というとなんか普通ですけど、そうじゃない。

全編沈んだモノクロですが、死んだ夫が残したカラーのホームビデオが無造作に挿入されます。それがすばらしい。何の変哲もないホームビデオが、悲しいぐらい幸福に思えます。希望の見えない現在と、失われた幸福な過去。そこからどう立ち上がるのか? 地味ですが、いい作品です。





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梁木ディレクターのここが見どころ!① 【ロマンス狂想曲〈台湾〉】

 
台湾と中国大陸の微妙な関係を描く
甘くてちょっと刺激的なラブコメディ

台湾と中国大陸の関係が難しいことは、日本人にはなんとなくわかるのですが、かゆいところに手が届かない。そのむずかしい距離感を、ふたりの若い男女に託して描いた、技ありの作品です。役所に勤める草食系男子アーチェンは、まずまずイケメンで洗練されていて、人当たりもいい感じ。いかにも台湾の若者らしい。ある日、北京から祖母の初恋の人を探しに来たチン・ランという鼻っ柱の強い美人と出会います。大陸人らしい押しの強さ、強烈な自己主張にとまどいながら、人探しに協力をすることになる。感じ方や考え方の違いにふたりはぶつかってばかり。近づけそうで近づけない……ノンストップ・ラブ・コメディです。

いかにも台湾映画らしい親密な雰囲気を保ちながらも、アップテンポの展開がとてもいい気持ち。楽しみながら、台湾と中国大陸の距離感が納得できます。



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【FOCUS ON CINEMA】花様〜たゆたう想い〜(台湾)Q&A

監督:ゼロ・チョウ

 

10月26日からの日本公開に先駆け、アジアフォーカスでジャパン・プレミアを飾った本作は、台湾の4大スターが共演する愛をテーマにした歴史ロマン。朝から整理券が配られ満員になった会場には、東京、大阪、岡山といった県外からのファンも駆けつけました。監督も「中華圏初となる上映に興奮と感動を隠せません」と終始、笑顔でお話されました。

 

Q:とにかくキャストがとても豪華な顔ぶれで、双子の姉妹を演じられましたアイビー・チェンさん、ミシェル・チェンさん、そしてジェリー・イェンさん、ジョセフ・チェンさんといった今人気のスターによる大共演で話題ですね。そして、脇を固める役者さんも有名な方ばかりで大作だと思いますが、キャスティングについての想いを聞かせてください。

監督:ご紹介頂いたように、台湾で大人気の若手スターを起用させていただいたわけでして、脇を固めるのは映画祭で主演男優賞、女優賞を獲っていらっしゃるサイモン・ヤムさんとサンドラ・ンさん、加えてリ・シャオランさんです。この素晴らしい俳優によって脇を固めていただいたというのは、若手スターにとって自分のこれまでの演技の殻を打ち破ることができて、ものすごく力になったと思います。ベテラン俳優にとっても相互にいい味を出し合って、お互いの力を結集していいものを作ってもらいたいなと思っていました。とくにサイモン・ヤムさんには、若手を引っ張って現場を盛り上げてくれてとても感謝しています。

 

Q:この映画はラブロマンスであるとともに、歴史大作でバジェットの大きなものだと思いますし、成功させるというのは素晴らしいなと思います。女性監督ということで大変な苦労というのはありましたか?

監督:女性監督が時代劇を撮るというのは、うまく撮れないと考える向きもあります。例えば、中国大陸では時代劇を撮っているのはほとんど男性の監督です。ですから、その男性監督が撮るテーマは戦争であったり、歴史上の英雄であったりすることが多いです。ただ私は女性監督として時代劇を撮るのであれば、人の細やかな感情、情感をきっちりと捉えたものを撮りたいと思いました。

この物語は、島で出会った男と女の物語です。そして、愛についての態度、見方がそれぞれみんな違うわけですね。例えば、花町の女将は花漾楼(かようろう)という事業をやるために、そこに重きを置いて愛をなくしてしまう。そしてまた、お茶屋の女主人は結局は夫のために家を捨てるわけですが愛を全うすることはできなかった。愛に対する信念というものがみんな違うわけなんです。これは男もまた同じことだと思います。このような男女の愛に対する信念の違いというものが、広く見れば歴史を作ってきた。歴史はこのような女性の愛に対する観念、信念の違いによって作られるという新しい歴史的な見方を私は持っています。

 

Q:愛というテーマが出ましたけれど、男女の愛はもちろん、私は双子の姉妹が思い合う不思議な力に驚きました。質問ですが、アクションも大がかりなものでしたけれども、俳優さんはケガなどしていませんか?

監督:私も実は6人兄弟なので、姉妹というものがどれだけ親しい存在なのかがわかります。そして、愛というと女性にとっては美しさというものがキーワードになります。そういう意味で、この女性の美貌というものを壊してしまう病気を設定しました。そして、これを2組の男女が愛でもって乗り越えられるかどうか、そういうテーマをここに1つ据えました。

アクションの部分ですが、これはジェリー・イェンさん演じるタオパーが一番多かったわけなんですね。実は最初はサイモン・ヤムさんのアクションが多く設定されていたんですけれども年齢のこともあって、ジェリー・イェンさんの見せ場がとても多くなりました。ジェリー・イェンさんは2ヵ月かけて武術を一生懸命練習してくれまして、撮影現場でケガもしました。彼は割と人間の本能的なものをしっかりと持っている方で、純な方なんですね。ですから、こういうふうに演じると自分が決めたら現場でもとにかくリアルを追求して、突き進む方でした。

 

「最後にジェリー・イェンさんの撮影エピソードが出て、ジェリーファンのみなさんも非常に満足されたことと思います」という進行役の言葉に、熱心に耳を傾けていた観客からはドッと笑いが。監督もにこやかに手を振りながら会場を後にしました。

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【FOCUS ON CINEMA】ウィル・ユー・スティル・ラブ・ミー・トゥモロー?(台湾)Q&A

プロデューサー:リー・リエ

 

毎年、独特の温かみと感動が多くのファンを惹きつけてやまない台湾映画。今年は、笑いあり、ちょっと涙ありの大人のラブストーリー「「ウィル・ユー・スティル・ラブ・ミー・トゥモロー?」が話題です。Q&Aに応えてくれたプロデューサーのリエ氏は、もう1本の台湾映画「すこし恋して、ちょっと愛して」で女優として出演もされています。

 

Q:キャスティングが素晴らしいですね。主人公のリッチー・レン氏、メイビス・ファン氏がこんな役を演じた映画は初めて観ました。

A:キャスティングにおいては、長年プロデューサーをやっているとピンと来る瞬間があるんです。妻と子と平凡で幸せな結婚生活を送っていた中年男性が、ある日突然かつてゲイだった自分の気持ちを取戻し、自分の人生に戸惑いを覚えて行く……という難しい役柄を演じたリッチー・レン氏は台湾では大スター。私は脚本を読んだ時に、何よりもピュアな瞳が素晴らしい彼しかいないと思いました。また2人目の子どもを望んでいる時に、夫がゲイだと知って衝撃を受ける妻役のメイビス氏は私の大の友達です。アーヴィン・チェン監督は最初、リッチー氏には「こんな役柄、彼はやったことがないから」と難色を示し、メイビス氏には最初、妻役と正反対のキャラクター、主人公の妹・マンディ役を考えていたんです。私は自分の直感を信じていたので監督と話し合いを重ね、結果、ピッタリのキャスティングとなりました。

また、マンディの婚約者・サンサン役を演じたのは、台湾の人気歌手・ストーン氏です。彼は俳優経験が全くなかったのですが、ライブの最中に彼女にプロポーズしたエピソードがあり、台湾の女性に大人気なんですね。今回はマンディの心を何がなんでもゲットしたいというサンサンという役柄にピッタリと思い、出演をオファーしました。

 

一つの質問に、とても丁寧に応えていただいたリエ氏。熱心な台湾映画ファンたちも深くうなずいていました。

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