おすすめアジア映画

梁木ディレクターのここが見どころ「シャンハイ」(インド)


インドの地方都市バラトナガール。何十億ドルもの資金がインターナショナル・ビジネスパーク計画に注ぎ込まれ、街は第二の上海になるべく熱狂していた。

いささか定番のきらいはありますが、インドの土地開発と政治の腐敗を暴く、いかにも今のインドらしい作品です。土地開発に反対する政治活動家……。そこに殺人事件が。真相を究明し、その政治的腐敗を暴く者たちは、権力者と激しくぶつかり合いながら、権力につぶされてゆく……。そして次第に事件の真相が明らかになっていく。往年の政治映画コスタ・ガブラスの名作「Z」が下敷きになっています。「Z」のような洗練されたテイストではなく、あくまでもインド的泥臭さと群衆のヒステリックなリアリティーが見どころでしょうか。

作品情報はこちら↓
http://www.focus-on-asia.com/lineup/film13_07.html

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梁木ディレクターのここが見どころ「タクシードライバー日誌」(インドネシア)


ベルリン国際映画祭2013でも上映された「タクシードライバー日誌」は、インドネシア版〝タクシードライバー〟です。もっとも大統領選挙はでてきませんが……。

若い孤独なAhmadは、ジャカルタでタクシーの運転手をしています。ある日、アパートの隣人の女性が売春婦であることを知り、彼女に惹かれて、ストーカーのように見張るようになります。そして彼女につきまとう裏社会の男性に殺意を抱くまでになっていきます……。

大都会の中で満たされない状況で、孤独に悶々と暮らす若い男性の精神状態が重苦しく伝わってくる作品です。狂気とエロスをはらんだ青春が描かれ、情欲をあおるような美しいジャカルタの夜の映像も魅力的です。台頭著しいインドネシアの若手の力量をとくとご覧あれ。

作品情報はこちら↓
http://www.focus-on-asia.com/lineup/film13_13.html

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梁木ディレクターのここが見どころ「聖者の谷」(インド/アメリカ)

この監督はアメリカ生まれではありますが、インド、カシミール地方にルーツを持っていて、その故郷を美しく詩的な映像で描くいわば理想化された映像詩であると同時に、外国人の立場から、故郷の惨状に鋭いメスを入れて、非常に現代的な社会問題をも描いています。移民の子孫だからこそ描ける視点の作品ですね。希望の見えない故郷に行きづまり、見切りをつけ、年老いたおじを残してカシミールを去ろうとする主人公に「逃げずにそこでがんばれ」と、いうメッセージを送っています。

監督は、湖の環境問題に焦点を当て警告を送りながら、主人公の人生に対する心境の変化を美しく描いていて、西欧の映画のように洗練された語り口で、アジア映画になじみのない人にも鑑賞しやすく、お勧めです。カシミールの美しい景色に身をおいて楽しみませんか。

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http://www.focus-on-asia.com/lineup/film13_11.html

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梁木ディレクターのここが見どころ「夢にかける女」(イギリス/中国)


ドバイで暮らすLifeiは、勝気だけは誰にも負けない中国人女性。親友と同居してホステス業で生計を立てているが、そんな暮らしに満足するはずはありません。一山当てようと、郊外でキノコ栽培のビジネスを始めます。しかし、資金繰りがうまくいかず、言葉の壁もある従業員ともうまくいかない。親友の助言も聞かず、恋人とも破局を迎えて、八方ふさがりになってしまいます。ケツをまくったようなエンディングが爽快です。

男勝りで、気が強い主人公のバイタリティーに圧倒されてしまいます。借金だらけで国にも帰れず……哀れにも思えるイケイケの生きざまに、むしろちょっと羨望を感じてしまう安定志向の日本人も多いはず。失敗を恐れず人生の成功を求めて前へ進むLifeiのようにエネルギッシュな中国人が現実にはたくさんいることでしょう。中東ドバイの下町は、そんな中国人の絶好の舞台なんでしょうね。

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http://www.focus-on-asia.com/lineup/film13_18.html

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梁木ディレクターのここが見どころ 「パルウィズ」(イラン)


かっこいい父親と無気力な息子の物語。息子といっても肥った無職の中年おじさんで、金持ち老人の父親に養われている。日本にもあるんじゃないかというリアルな設定ですね。

定職もなく、結婚もできず、太っちょで、だらしのない身なりの中年男パルウィズは、父親の再婚を機に家を追い出されます。これまでの快適な暮らしを失ったパルウィズ。巨漢の中年息子の苦しげな呼吸音が作品全編を基調低音のように流れて、それが主人公の息苦しさ、生きることの苦しさを見事に表現しています。かといって、自分でアクティブに生きようとは絶対に思わないところがおもしろい。やがて外部に対しては陰湿な暴力をふるいはじめる。そのあたりの淡々とした描写が見事ですね。現実に引きこもりのお子さんがいる人たちにはシビアにひびきそうな問題作です。

とことんニート、とことん寄生虫だけど、存在感があるパルウィズ。この作品は、とても身近です。

作品情報はこちら↓
http://www.focus-on-asia.com/lineup/film13_06.html

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梁木ディレクターのここが見どころ「ウィル・ユー・スティル・ラブ・ミー・トゥモロー?」(台湾)


巨匠エドワード・ヤンに師事し、映画「台北の朝、僕は恋をする」で脚光を浴びた新進気鋭の監督アービン・チェンが描くラブストーリー。

ウェイチャンは妻フォンとの間に設けた息子ワンとの3人家族。仕事も家庭もうまくいき順風満帆の生活を送っていた。妻の知らない秘密を除けば……。その真実が明かされたとき、妻は?

カミングアウトものなのに、ほのぼのとしていて、後味のいい映画です。夫がゲイだったということがわかった妻が、同僚の女性とカラオケ屋でタイトル・ソングを歌う場面がいい味で、修羅場になりそうなところをコミカルに描くことで、観る方は安心して楽しめます。ホモセクシュアルを描く台湾映画には独特な愛嬌があり、その手さばきはほとんど成熟の域に達しているといっていいかも知れません。

作品情報はこちら↓
http://www.focus-on-asia.com/lineup/film13_19.html

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梁木ディレクターのここが見どころ「聖なる踊子」(インドネシア/フランス)


インドネシア、ジャワ島中部の田舎の話。村の伝統的な暮らしが、そこにはあり、伝統の中に踊り子という身分がありました。聖なるものでありながら、同時に性なるものでもある踊り子、日本でいえば巫女と遊女を兼ね備えた身分でしょうか。主人公Srintiは踊りが好きで好きで、恋人を捨ててまでもその伝統的踊り子になってしまいます。恋人のRasusは、彼女が踊り子になった夜、悲しみから逃れるように村を出て軍隊に加わります。軍で厳しい訓練を受けた彼はやがてりっぱな軍人へと変貌していきます。

一方、娼婦でもある踊り子は、お金を積めば誰でも一夜を共にすることができます。やがて、彼女は運命にもてあそばれ身を落としていきます。恋よりも芸をとって生きることを選んだ女性の栄光と悲惨……。それだけではありません。時代の波は村全体をのみこんでいくことに。踊り子も村人も知らず知らずのうちに政治闘争の渦に巻き込まれ、インドネシア最大の虐殺事件、1965年「9・30事件」が起こります。さて二人の運命は……?

監督のIfaさんは、韓国のイム・グォンテクの弟子で、90年代にインドネシア民主化のための学生運動をしていた世代。そうえいば「風の丘を越えて」などに通じるものがあります。この作品は、激動の時代のインドネシアを知ることができる貴重な作品です。

作品情報はこちら↓
http://www.focus-on-asia.com/lineup/film13_12.html

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梁木ディレクターのここが見どころ「血の抗争」(インド)


これは、インド版〝仁義なき戦い〟、〝ゴッドファザー〟です。Part1とPart2のあわせて5時間20分の大長編ドラマですが、ハマってしまったらやめられない……おもしろくて2部まで一気見してしまいます。実話に基づいて製作された作品で、対立するKhanファミリーとSinghファミリーの三世代にわたる抗争を描いた、超スペクタル復讐劇で、世界中で公開され、評判を呼んでいます。

ドラマは1940年時代から。当時、イギリス植民地支配で炭鉱開発が展開され、その後インド独立でその利権を手に入れたSingh。Singhの手下だったKhanはボスを殺して炭鉱を奪おうと考えるが、それを覚られてSinghに殺される。その息子Shadarは、Singhの弟分に助けられ、孤児として育てられる。そして20年後、大人になったShadarは、父親の敵討ちをしようと、財と権力で地域を牛耳るSinghファミリー(父と息子)の支配する街を血の海にしていく。第1部のラストはShadarが逆襲にあい、撃ちまくられ血まみれになっているが立ち上ろうとする……と、すさまじいけど、カッコいい……そんな場面の連続です。「仁義なき戦い」ファンなら泣いて喜ぶことうけあいです。

作品情報はこちら↓
http://www.focus-on-asia.com/lineup/film13_01.html

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梁木ディレクターのここが見どころ「果てしなき鎖」(フィリピン)


ローレンス・ファハルド監督の新作。彼は昨年のアジアフォーカスで、キレる人間の狂気を描いた作品「アモク」で、多くの観客に衝撃を与えました。

2年連続の招待となる本作も、フィリピンの警察組織の腐敗ぶりを描く問題作です。腐敗ぶりを描いているのに、なんと牢獄や警察署などすべて実在の建物で撮影。よくまあ、撮影許可が出たものだと思いますが、どんな映画を撮影しているのか把握してないのでしょう。そのへんがフィリピンのユルさであり、ファハルド監督のずる賢さ(いい意味で)なのでしょう。リアリティを追求し、不条理なフィリピン社会の現実を素顔のままあばき出しているところが凄いですね。

どこまでいっても救いがない……暗澹たる気分になるのですが、これはフィリピンにわかりやすい形で起こっているだけで、多かれ少なかれ地球規模で起こっている救いのなさに通じているような気がします。高見順の小説を借りれば、「いやな感じ」です。

作品情報はこちら↓
http://www.focus-on-asia.com/lineup/film13_04.html

 

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梁木ディレクターのここが見どころ「すこし恋して、ちょっと愛して」(台湾)


高校生ヤンは4人家族。それぞれの恋愛模様が、例によって台湾的な親密な身体感覚で描かれています。父は婚約者がいる相手と急接近し、母は店のお隣さんに惹かれ、姉は恋愛に全力投球。ラブストーリーになりそうでならない、相手との絶妙の距離感、その微妙さがとてもいい映画です。父親も母親も姉も……と、馬鹿な恋愛遊戯をやっている大人を冷静なまなざしで見ている高校生が主人公。この映画のいいところは、そのクールな彼が、バカバカしい恋愛模様の渦中に飛び込んでしまい、人間喜劇を演じてしまうところ。人間って、バカなことをしでかすからいいんだなあと納得してしまう作品です。

台湾独特の湿り気と乾いた感覚が両方あって、庶民的でスタイリッシュ、台湾ならではの味付けがいいですね。

作品情報はこちら↓
http://www.focus-on-asia.com/lineup/film13_17.html

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