Focus on Cinema

ハリキにしやがれ! Vol.1 ~映画祭の楽しみ方は?~

映画祭もお祭りですから、お祭りとして楽しんでいただければと思っています。お祭りとは何かと言いますと、ぼくらの生活は、だいたい労働と家庭の2つに分けられます。労働でも、家庭でも自分の役割は固定されています。逃げようがないですね。固定された役割と、義務の繰り返しだけでは、人間は生きていけない。

そのどちらでもない空間を作って、バランスを取ることを人間は知っています。逃げようのない固定された役割ではないゆるやかな空間。平等に参加できる空間が必要なのですね。娯楽、スポーツ…もうちょっと質にこだわると、音楽、文学、美術など芸術ということになります。オランダの歴史学者ホイジンガにならって、それらをすべて遊びと言ってもいいでしょう。歯車と歯車がうまく回るためには、隙間がなくてはならない。そのことも遊びと言いますが、生活が生活としてうまく回るためには、遊びが必要なのです。

ここまで言えば、お祭りが何であるかは、お分かりでしょう。労働でも、家庭生活でもない、もう一つの空間です。ですから、本来、そこで何をするかが重要なわけではありません。固定された日常の空間だけでは、ぼくらは狂ってしまうのです。日常から離れるために、お祭りには神の憑代として山車があるように、映画祭は、映画という山車をかついでいるのです。

それから先は、縁日気分で参加してもいいし、山車をかつぐ気分で参加してもいいし、いいかげんで結構ではないかと思います。肝心なことは、思い切って日常から離れることです。映画祭だけではなく、いろいろなお祭りを楽しむコツはそこにあると思います。

 

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