Focus on Cinema

【Focus on Cinema vol.4】 シンポジウム「アジアの喜劇センス」


笑いの必要性を各国映画人の視点から語る
パネリストにはインドから「僕はジダン」のスーニー・ターラープルワーラー監督、スイスから中国映画「冬休みの情景」のアレックス・チョンプロデューサー、映画評論家の村山匡一郎さんが登場しました。

今年度の映画祭には、意図しないものも含めてコメディ作品が多い。梁木ディレクターの「武器にも凶器にもなる笑いをどう使うか」という問いかけに、スーニーさんは、「私達、ゾロアスター教徒は笑うことを愛する民族。作品の中でも、例えば悪役として実在の人物を撮って揶揄したりしています。その方が問題点をより深く考えてもらえますから」。ボンベイのシネマコンプレックスで8週間連続上映された「僕はジダン」は、若年層の人気を獲得しました。

左から、アレックス・チョン(「冬休みの情景」プロデューサー)、スーニー・ターラープルワーラー(「僕はジダン」監督)
続いて、子供時代を台湾で過ごしたスイス在住のアレックスさん。祖父と孫のやり取りが印象的な「冬休みの情景」は、コメディを目論んではいないものの、結果的にそう受け取られて満足だといいます。「西洋と違って、アジアの人々は自分自身も苦しみながら笑いを見せます。だからこそ自分の内面を見つめることが重要。作品ごとに、観る人に人生や生活のことを考えてもらう機会になれば」と穏やかな口調で話してくれました。

村山さんは、映画に笑いが登場した変遷に触れ、日本映画を分析。「もともとコメディーは、国内市場向けに作られたもの。「寅さん」を嫌いという人はいないでしょう。でも、イギリスでも受けたんですから笑いは普遍なのに、ツボがずれたりと文化の中で少しずつ差があるから面白い。これからの時代はもっと多様性が求められると思います」。

左から、村山匡一郎(映画評論家)、司会の梁木靖弘(本映画祭ディレクター)
文化的差異、都市と農村との比較、社会的な役割…笑いの魅力を語る一方で、話題は、戦時中やメディアの姿勢、中国の検閲の問題と発展、さらには現代において、時として笑いがガス抜きに使われるのは危険な兆候で不健全という本質を突く話題も。熱心な映画ファンの中からも意見が上がり、40人余りの参加者は最後まで注意深く耳を傾けていました。

【Focus on Cinema vol.4】より

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