Focus on Cinema

【Focus on Cinema vol.4】ゲストインタビュー②

車の影に(フィリピン)
監督 アドルフォ・ボリナガ・アリックスJr
衝撃のラストシーンへ導く緻密なフレーム

湾岸地帯を舞台に、コンテナトラック運転手の夫を持つ妻、ノーラの悲劇を描いた本作は、監督自身が実際の現場を取材して作った事実に基づくストーリー。最初はカラーで撮影していましたが、主人公の感情に、よりフォーカスさせるために途中からモノクロに切り替えたそう。

「希望に向かう白と、絶望を表す黒。その中で、主人公のノーラはグレーな存在なのです。また全フレームには必ずトラックなど金属質のものを映していますが、これはノーラを象徴するもの。最初は冷静なノーラですが、熱すると形を変える鉄のように、彼女も最後は火山のごとく爆発してしまう」

主人公役は、フィリピンのテレビ界では有名な女優だそう。まるで本人であるかのようなリアリティあふれる演技について、「ストーリーはシンプルですが、主人公は幅広い感情の起伏を要求される。だから力量のある女優が必要だった。彼女は知的な人で、私を信じて演じてくれました」。「全編に高い美意識とパワーを感じます。パワーがないと悲劇は受け止めきれない」と梁木ディレクターが言えば、「僕もハッピーエンドを信じていない。悲しいことがあっても生きていく、それが人間だと思う」と監督。映画製作の裏側を包み隠さず披露してくれた有意義な懇談でした。

【Focus on Cinema vol.4】より

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