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【FOCUS ON CINEMA】夢にかける女(イギリス/中国)Q&A

監督:コンラッド・クラーク

 

イギリス人の監督が中国の女性の生き様をドバイで描いたという異色の今作。また、20カ国の国籍を持ったスタッフたちが関わったというインターナショナルな作品です。コンラッド監督自身もドバイで働きながら生活していた経験があるそうですが、この映画でなぜ中国人女性を描いたのか、話を聞きました。

 

Q:主人公の女性のクローズアップのカットが多いですね。また映像の荒々しさが彼女の心情を表しているようにも思えます。これはフィルムで撮影されたんですか?

A:16mmフィルムで撮影しました。私は人物を外からではなく内面から呼吸しているかのように描きたかったんです。だからクローズアップの多いカットが多いんですね。ドバイでは普通、特に女性だと人の顔を見つめます。この映画ではリアリティーを追求したかったんですが、質感についても同じです。普通、ドバイというと美しい街並みを想像されると思いますが、この映画のようにせわしなく荒々しい街も同時に存在しているんです。

 

Q:主人公の女性は、砂漠のど真ん中でキノコを栽培していますが、そんなことってあり得るんですか? また本当にこのような中国人女性の実業家はいるんですか?

A:砂漠でキノコを育てるのはクレイジーですよね。しかし、ああいうクレイジ―なビジネスのアイデアを出す人は、ほとんどビジネス経験がない人なんです。キノコ農場のシーンは実際に中国人女性が起業した工場で撮影しました。ドバイではキノコ栽培は元手の10倍の価値があると言われていますが、「じゃあ、やってみよう」という人はほとんどいないですね。

 

Q:一人の女性起業家を追っていく、ドキュメンタリーフィルムのような印象を受けました。それほど演技が自然に見えたのですが、俳優はどうやって選んだんですか?

A:主人公のリー・フェイもほとんどの俳優が素人です。女友達のヤヤのみがプロの俳優です。ドキュメンタリー調は意図的に演出しました。俳優たちは実際に街に繰り出していき撮影したので、それゆえに撮影が難しかったこともあります。

 

Q:映画内では主人公たちが毎日インスタントラーメンやケバブを食べ、狭くうるさい部屋で味気ない生活を送っていますよね。それでもお金、成功を追いかけるのは何故ですか?

A:それはまさしく、私が上映前に言いたかったことです。ドバイにやって来る99%の外国人はお金もうけのためです。中国人も多く来ています。現実に別の国にやって来て、お金もうけのために生活すると、人生がすべてそれに支配されていきます。そしてお金もうけの為なら何でもするようになるんですね。女性だと体を売る人もいます。とてもクレイジーな世界です。主人公はもう一ステップジャンプして、お金もうけと共に、自分自身の尊厳を守っていました。お金もうけ以外のものを求めることで、あらゆる戦いが生じ、結果、恋人も友達も失い、そして自分自身も失っていくことになるのです。

 

Q:最後に船を漕ぐ昔の男たちのシーンがでてきますよね。あれにはどんな意味があるんですか?またドバイの裕福な階級の人たちは、この映画のような生活者のことを知っているんでしょうか?

A:現在、ドバイは移民ばかりです。ですから、生粋のドバイ人だけが映っている70年代のフィルムを挿入して、現在と対比した表現にしました。また、ドバイでは生活帯が分断されていて、ある生活レベルで住んでいると、別の生活レベルの人と会うことはありません。この映画の主人公はいわゆるアッパーミドルクラスの人物とはまったく交わらないで生きています。自分が生活レベルを選ぶというよりも、自分がどの生活世界に所属できるかの問題です。

 

現在、母国イギリスで、英語による最新作を製作中のコンラッド監督。「今作では資本主義が残酷に働いていることを描きましたが、次回作では解決策は他にあるんではないか…というテーマで映画製作しています」と答えていただきました。

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