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福岡ワンミニット・コンペティション2013

若きクリエーターたちのさらなる進歩を鼓舞する3時間

 

9月22日、福岡フィルムコミッションが主催する「福岡ワンミニット・コンペティション2013」の公開最終審査会が行われました。

これは応募があった日本の若手クリエーターによる短い映像作品を、映画祭の本編上映前に流し、その中から最終審査に残った作品を公開で審査するというもの。審査員には福岡出身の映画監督・石井岳龍氏やアクション女優の大島由加里(シンシア・ラスター)さん、ゲスト審査員にタイのバンジョン・ピサンタナクーン監督を迎えてのコンペティションだけに、会場は多くの映画ファンでいっぱいに。

審査委員長の梁木ディレクターによる進行のもと、プログラムがスタート。始めに、ゲストをスピーカーに「地域を生かした映画づくり」をテーマに審査員によるトークセッションが行われました。

バンジョン・ピサンタナクーン監督は、大学卒業後、CM製作会社に入り助監督を経て、デジタルで短編映画を作った後、デビュー作となった長編ホラー映画「心霊写真」でタイの年間興行収入第一位を記録。海外からも高い評価を受けています。現在もCMを作りながら映画を撮っている監督。「実はハリウッドからの誘いもあるんですが、自分が撮りたい脚本と作品でないと1本で終わってしまいますから、そこを大事にしたいと思っています。
次は全編中国語の中国映画(ホラーコメディー)を予定しているんですよ。私にとってはどこで作品を撮ろうが、自分が語りたいもの、自分らしさが伝わればいいと思っています。いろんな人に聞かれますが、タイらしさはオリジナリティーのある作品を撮れば、自然と映画の中に出てくるものだと思います」

大島由加里さんは、女優の立場から想いを述べられました。
「私はアジアで女優業をしていますから、やはりアジアと福岡を繋ぐことができたらいいなと思っています。福岡の良さがわかる福岡発の面白い監督がいて、それをコミッションがサポートして、アジア諸国とうまくやっていくことができたら嬉しいですね」

福岡を代表する映画監督・石井岳龍氏は、
「私は年を重ねて経験を積んできましたし、山笠をはじめとする博多の風景はルーツであり消えないものだと思っています。そこにしかないものがあると思う反面、そこにいると見えないことがある場合もあります。例えば旅をすると、別の国の風景と博多の下町の路地が重なって映ることがある。それって、私の記憶や創作の原点ですから変えようがないんですよね。離れて遠くから見てみるということが発見に繋がるかもしれません」と考えを述べ、映画界で減少傾向にある純粋なオリジナル映画を作ることの意義や重要性を伝えられました。

「ご当地映画ではない、ローカルティを失わない映画づくりには、“ルーツと創造力の翼”の両方が大事ですね」と梁木ディレクターのまとめがあった後は、「バリバリショートssフィルム海外作品上映」と「アジアフォーカス・福岡国際映画祭先付タイトル上映」タイム。これまでアジアフォーカスに招待してきたアジアの監督たちが推薦する若手クリエーターの作品を5作品紹介した後、オープニングに上映された歴代のタイトルを上映。玄界灘と飾り山笠が登場する石井監督によるフィルム撮りの初代作品も流されました。


休憩を挿んだ後は、いよいよコンペティションの時間。始めに、「福岡インディペンデント映画祭2013」でアニメ賞を受賞した作品「サイクロイド」(黒木智輝作/3分25秒)が特別上映され、続いて本題となるコンペティション作品にノミネートされた13作品が紹介されました。

街や観光地、人、夜、思い出etc…「福岡」をテーマに、さまざまな視点とアイディアで自由に撮られた1分前後の作品群。「私は今回、辛口批評担当です」と話す石井監督が会場を沸かせる場面もありつつ、残念ながら最優秀賞に該当する作品はなく、優秀賞に3作品、大島由加里さんから特別賞が1作品、選ばれました。

優秀賞には、博多うどんをテーマに凝った映像を披露した「発祥の地 福岡!」(玉井雅利/90秒)、赤ちゃんのいる家族の何気ない日常の風景を題材とした「福岡3人暮し」(黒川荘輔/73秒)、博多の伝統をユーモラスに伝えた「博多手一本に、やり直しはない」(古野翼/90秒)が受賞。会場から歓声と拍手がわき起こりました。

バンジョン・ピサンタナクーン監督は「『発祥の地 福岡!』が面白かったです。私はストレートなものでなく、意外性のある新しい視点で自分らしさが伝わる映像が好みです。うどんという題材とマーシャルアーツを駆使した映像を見て、福岡をもっと知りたくなりました」

石井監督は13作品を全部を批評。受賞作については「『発祥の地 福岡!』は青ビニールでブルーバックをよく撮ったと思います。音に迫力がもっとほしかったのと、面白かったけれど、博多うどんならきつねじゃなくてゴボウ天か丸天!(笑)。『福岡3人暮し』はヒューマンな視点がよかったと思います。ラストショットが弱くてもったいなかった。もうひと捻りほしかったです。『博多手一本に、やり直しはない』は、アイディアが面白いですね。ラストショットのピンがあまかったので、もっと丁寧に撮ってください」

また特別賞には、博多の夜のネオン街を撮影した「fukuoka night」(高橋美沙子/90秒)が選ばれ、「夜といえば大島ですから(笑)」と、大島由加里さんから楯が授与されました。

総評として「全体的に、何を伝えたいのかが弱くてわからないものも多かったですね。もっとていねいに、愛情を持って表現してほしいと感じました。とくにラストシーンはキメなので、ここで勝負する気持ちで…自覚が足りない作品が多かったです」と意見を述べる石井監督の言葉に、梁木ディレクターも納得。「流通している福岡でない福岡をもっと見てみたかったですね」と、さらなる進歩を願い、若きクリエーターたちを鼓舞するかたちで3時間にわたるコンペティションは締めくくられました。

 

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