ディレクター梁木のアジア映画館

梁木ディレクターのここが見どころ!⑨ 【兄弟〈フランス/グルジア〉】

 
グルジア内戦を少年の視点から鮮明に描く

40年以上も前、旧ソ連時代のグルジア映画にはいい作品がありました。「ピロスマニ」とか「落葉」など、静謐な芸術作品でした。これは久しぶりのすばらしいグルジア映画です。1990年代初頭、ソ連が崩壊するちょうどその頃のこと。首都トビリシは内戦の混乱期にありました。ふたりの兄弟の物語です。兄は、将来に向けて高い教育を受けられたはずなのに、内戦に巻き込まれ、不毛な日々を過ごすうちに悪の道に迷い込んでしまう。才能豊かな弟は、ピアニストを目指していたのですが、ますます激しくなる内戦のために、困難に直面する。グルジアの光である、芸術という希望が消えそうになる……。
この時期に青春時代を送った監督が、自身の体験や実話をもとに、祖国が変わってゆくさまを失われた世代の視点から鮮明に描いた哀歌です。弟役を演じるのは、本当にピアニストを目指すかわいらしい少年です。


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