ディレクター梁木のアジア映画館

梁木ディレクターのここが見どころ!⑮ 【予兆の森で〈イラン〉】

 
134分を1カットで撮影した傑作!
始終漂う不安感は病み付きに

今年もっとも衝撃的な作品です。芸術的にもとても洗練された作品。134分をワンカットで撮影しているというのも、以前にヒッチコックやソクーロフなどの試みはあるものの、何といっても驚異的。森に囲まれた湖畔、凧揚げイベントに参加するために集まった学生たち。近くのレストランの料理人たちは料理のための“肉”を探しに森をさまよう。まがまがしい予兆をはらみながら、カメラは永遠に移動し続けます。

ホラーのテイストで始まるのに、ホラーの現場が出てこない。不吉な予感だけでどこまでも引っ張っていく。デヴィッド・リンチみたいです。観客は何か恐ろしいことが起こるという「不安」をはらみながら、さまよい続ける。そして、同じ場面に何回も戻ってくる。ハンガリーのタル・ベーラ監督作品みたいです。別の場面に移っても必ずまた同じところに戻る。出口がない。原題の「猫が魚を狙っている」という状態が続く。ぼくらの心の中みたいです。観客は、じっと観つづけるしかない。今一番現代的な作品だと思います。


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