ディレクター梁木のアジア映画館

梁木ディレクターのここが見どころ!⑯ 【日本映画特集「しゃらくせえ絵師たち」】

 

     ©写楽製作委員会

しゃらくさい時代がありました。むろん、しゃらくさい人々がいました。浮世絵を磁場に見えてくればいいなと思っていたのは、ひと言でいえば、しゃらくささです。時間が止まったような江戸の世に、ちっぽけな版画の画面に、歌舞伎の舞台に、力づくで浮世(憂世)を閉じ込めようとするしゃらくささ。江戸のしゃらくささを、さらに映画に無理やり押し込めようとするのも、しゃらくさいし、この7本に出てくる人間たちも、しゃらくさい。60年代から70年代にかけては、ほかにも大島渚の「新宿泥棒日記」、松本俊夫の「修羅」、寺山修司の「田園に死す」など、ぼくの大好きなしゃらくさい映画がありました。本特集の最後に位置する篠田正浩の「写楽」は、しゃらくさくなくなってしまった時代と映画へのレクイエムではなかったのか、と思ってしまう今日この頃です。しゃらくささよ、いまいずこ?

Posted on