ニュース・トピックス

FOCUS ON CINEMA⑧【予兆の森で〈イラン〉Q&A】

監督:シャーラム・モクリ

 

全編134分ワンカット撮影という驚きの手法を使った「予兆の森で」。実話を基に一つの視点から様々な人物の時間の流れを描いた物語は、今回の映画祭では最も刺激的な作品と呼び声高く、会場ではイラン新進気鋭の監督・シャーラム・モクリ氏に質問が相次ぎました。

 

Q:映画の中で時間がループしていくというアイデアはどのように浮かんだんですか?

A:タランティーノ監督の「パルプ・フィクション」のように時間がループする手法が流行した時期に私もこのような作品を作りたいと思い、エッシャーのだまし絵を鑑賞するなど研究しました。しかし、絵なら自分の中だけで時間や空間を崩すことができますが、映画になると時間の流れが必要になってきます。そこで考えたのが大きな時間の流れという円の中に、登場人物各々が抱える時間という小さな円を何個かつくるという手法です。

 

Q:映画製作において大変だったことは?本当に2時間半ノーカットなのですか?

A:役者を納得させることが一番大変でしたね。役者を集め、1カ月ロケ現場で毎日舞台のように稽古を行い、慣れた頃にクランクインしました。80本程撮った後、1人の役者がセリフを忘れた時は1日半休みをとった後、1から仕切り直しました。カットは一切していません。またカメラマンは2人いて、30分ごとにカメラパスを行い撮影しました。

 

Q:ノーカットにした理由は?

A:時間の流れ、というものを観客に強く感じてほしかったからです。通常、実話だと「何故、そんなことが起きたか?」を説明する手法が多いですが、私は形だけを説明することにしました。その演出により、実際にイランの西側で起きた事件をリアルに伝えるのではなく、映画としてシュールに表現することに成功したと思っています。

 

原題の「Fish&Cat」について、「この映画では若い世代を狙う古い世代、というイラン独特の世代観についても描いています。またイラン自体が諸国から常に狙われている状態で、いつも何か起きるんじゃないかという不安を抱えて人々は生きている。その事実も表現したかった」と熱を帯びた口調で語ってくれ、会場から拍手が沸き起こりました。

 

Posted on