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FOCUS ON CINEMA⑫【山猪(いのしし)温泉〈台湾〉Q&A】

(左より)クオ・チェンティ、ルー・イーチン、ウー・イーティン



監督:クオ・チェンティ
主演女優:ルー・イーチン
女優:ウー・イーティン


 

2009年、台湾南部で起きた台風の被害は記憶に新しいところです。今作は実話を基にしたフィクションで、被災地となった村の人たちが生きて行く姿が力強く描かれています。会場に監督と二人の女優が現れるとパッと華やいだ雰囲気になりました。

 

Q:台風の被害は日本でも大きなニュースになっていました。その後の復興状況はどうなんでしょうか?

監督:私たちがロケを行なった南部のシンカイ村では28名の方々が台風の犠牲になり亡くなられました。ロケは2012年の11月、12月に行なったのですが、映画の中でご覧の通り、土砂が積もっていて、まだ整備も何もされていない状況です。この時点で村人の半分は山の麓に引っ越していきました。その村は温泉宿など観光業を営む方たちが多かったのですが、被災後、村に残った人たちはエコロジーを意識した手工業での工芸品づくりなどを始め、自然と共存して生きて行こうと努力をしています。青少年が生態系の勉強ができるようにサポートしたり、自然と共に生きる人々と触れ合い、生活を体験するエコツーリングを行ったり…と、村人の皆さんたちは今とても頑張っていらっしゃいます。一回破壊された村が再生するということは大変難しいと感じました。

 

Q:映画内では梅の花がとても印象的でした。日本では冬に咲くのですが、台湾ではもっと早く咲くのですか?

監督:12月末、新年を迎える頃に咲いていましたね。梅は亡くなった父親との思い出を結びつける為に印象的な演出を行いました。また、災害にも負けず頑張っていこうという思いも込めています。2009年8月の台風の後、雨の降らない日々がずっと続き、12月に咲いた梅の香りは普段よりもとても強かったそうです。村の人々が「梅は水害に驚いてこんなに強く咲いたんだね」と言っていました。

 

Q:女優のお二人はキャスティングが決まった時どう思いましたか?

ルー:実際村に行ってモデルとなった女性に会いました。その方のご主人が台風で亡くなられたんですが、台風の前夜に口ゲンカをして台風の日、家を出ていかれてしまったんです。その後、女性はうつ病になってしまったんですね。私は彼女にどんな気持ちだったかをストレートにお聞きし、思いをくみ取っていきました。
監督:私がその彼女にインタビューをした時、一切泣かずに強く答えられていたんですが、ルーさんが彼女と話した時は積もった感情を爆発させたそうです。彼女はルーさんには心を開いたんでしょうね。感謝しています。

ウー:私の祖母が日本の茨城県に住んでいるんですが、東日本大震災の時にとても心を痛めた経験もあり、実際村人を取材する時に心の傷に触れやしないかとドキドキしながら話をお聞きしました。私のモデルは男性だったのですが、とても気丈に話してくれて、彼の思いにできるだけ近づくように役作りをしていきました。

 

一つひとつの質問に丁寧に応える姿が印象的だった3人。インタビュー中もお互い褒め合うなど、仲の良さと一つの大作を共につくりあげた絆を感じられたQ&Aでした。

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