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FOCUS ON CINEMA⑭【ジャングル・スクール〈インドネシア〉ディレクター懇談】

撮影:グンナール・ニムプノ

 

実在の女性をモデルにしたリリ・リザ監督の最新作

 

祖国インドネシアを舞台にした映画を撮り続けるリリ・リザ監督を、友人としても、映画人としても、心から尊敬していると語る撮影監督のグンナール・ニムプノさん。2003年製作の実験的な映画「ドゥルパギ」で初タッグを組んで以来の仲だそうです。「あの作品は、自分が手がけた仕事の中でベストな一本。最近ではリリ・リザもドラマの手法で脚本をかためてから撮り始めるようになりましたが、当時はフィクションとドキュメンタリー、現実と架空をミックスした世界を描き、フレームに化学反応を生み出していました。でもある意味、本作品も伝統的な映画製作と実験的なやり方をミックスした映画といえるでしょう」と大きな瞳を輝かせます。

ブテット・マヌルン氏という実在の女性をモデルにした本作品は、監督の真摯で綿密な取材によって実現したそうです。「ご本人もものすごく大好き!と言ってくれました。繊細な感性の持ち主で、いつもすぐに感動して涙を流す人なのですが、今回、この映画にも強く感情を揺さぶられたと語ってくれました」とグンナールさん。

これまでリリ・リザ監督の映画を観てきた梁木ディレクターが、「彼は教育の重要性を繰り返し説いている。近代化の光と陰、教育はその両方を背負っていると思う」と指摘すると、グンナールさんも「まさにその通りです。リリ・リザとはもう5年以上もの付き合いになりますが、彼は若い世代に自分の知識を惜しみなく伝えるワークショップにもとても熱心なんです。彼から学ぶことは、撮影以外でもとても多いですね」。

しかしながら、日本の教育は今、先の見えない危機的な状況にあるのも事実。「一般化するのではなく多様性を受け入れることが大切。リリ・リザの活動は、若い世代が地元に根づき、メディアを使ってクリエイトしていくモデルケースになるのではないか」とグンナールさん。「リリ・リザ監督には、ぜひ文化大臣になって映画や芸術文化を盛り上げていって欲しいなあ」という梁木ディレクターの発言に、「いえ、大臣なら、プロデューサーを務めたミラ・レスマナさんの方が適任でしょう(笑)」。「そりゃ、そうですね」。大笑いで幕を閉じた懇談のひとときでした。

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