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FOCUS ON CINEMA⑳【KANO〜1931海の向こうの甲子園〜〈台湾〉舞台挨拶&トークライブ】

監督:マー・ジーシァン
俳優:永瀬正敏、坂井真紀

 

「あきらめない心」、「前に進む力」を感じる作品


1931年、日本統治時代の台湾から甲子園出場を果たした日本人、台湾人(漢人)、台湾原住民による「嘉義農林学校」野球部の感動の実話をベースに描いた意欲作。本作が長編デビューとなる若き台湾映画界のホープ、マー・ジーシァン監督と鬼監督・近藤兵太郎を熱演した俳優の永瀬正敏さん、近藤監督を支える妻を演じた坂井真紀さんの3人が舞台挨拶に登場。上映前の会場全体が熱気に包まれました。

「はじめまして。今日はありがとうございます。どうぞよろしくお願いします」と、第一声、日本語で丁寧に挨拶してくれたジーシァン監督に、客席からは温かい拍手が。

今回、監督が福岡を訪れるのは2回目とのこと。初来福の時は、撮影前に王貞治さんを訪問したといいます。台湾では3.5億台湾ドルの興行収入を得て、大阪アジアン映画祭、台北映画祭ともに観客賞を受賞している本作。台北では上映年にすでにアンコール上映も行われたそうです。

「この作品は日本と台湾双方の歴史と記憶を辿る映画です。アジアで上映されること、ここにいる皆さんと作品を共有できることを心から嬉しく思います。野球を題材にした作品ですが、人生のいろんな局面で“あきらめない心”、“前に進む力”をもらえる映画だと思いますので、どうぞ楽しんでください」

監督によるメッセージが贈られる中、その言葉を見守る出演者2人の笑顔から、映画づくりがいい雰囲気で進められていったことがうかがえます。そんな2人について監督は、「文化の異なる国の人間同士が“映画を仕上げる”という同じ目的を持って進む中、いろんな苦労はもちろんありましたが、日本人のプロ意識を学ばせてもらいました。長編映画を初めて手がける私に、2人は撮影中も積極的に助けてくれましたし、心の距離が縮まっていくのを感じました。宣伝にも全力で協力してくれました。心から感謝しています」と、胸に手をあてて感謝の言葉ばかり。

それを受けて、永瀬正敏さんは、「この映画との出会いに感謝しています。上映年にアンコール上映されることも素晴らしいことだと思いますし、台北では私が撮った「KANO」の写真展が開催されたんですが、監督とのサイン会に800人というびっくりするくらい大勢の人たちが駆けつけてくれたんですよね。出演の野球部員一人ひとりにファンがついていることがすごく嬉しかったです」と、言葉を返しました。ちなみに、永瀬さんは実際の近藤監督を知る身近な人に話を聞きに行き、厳しい監督役という役作りに励んだのだとか。当時、最先端の練習方法を取り入れ、魅力的な人物だったといいます。

続いて、司会者から坂井真紀さんへの質問。「夫に付いていくという昔の日本の女性像を演じられた坂井さんですが、顔だけで心情を伝える演技は難しくなかったですか?」との答えに、「私もこの作品でとても素晴らしい経験をさせていただいて、出会いに感謝しています。早く早く日本の方に観ていただきたい作品です。永瀬さん演じる近藤監督は、まっすぐな人なので、自然に付いていきたいという気持ちになれました」と、にこやかに話してくれました。

話は尽きない中、上映を前に永瀬さんから「映画の中の野球道具は当時のものを使ったりしていますし、“嘘のない映画”です。3時間ちょっとありますが、僕を信じてください。あっという間です」と熱く締めの言葉が投げかけられると、会場は笑いとともに拍手喝采に包まれました。

 

 

【「KANO〜1931海の向こうの甲子園〜」トークライブ】

日本と台湾の出会いと交流に感謝して

 

KANO


 

作品上映中、会場のあちこちからすすり泣きの声が聴こえ、終演後は熱い熱い拍手が贈られた本作。舞台挨拶に引き続き、マー・ジーシァン監督、俳優の永瀬正敏さん、坂井真紀さん3人を迎えて、キャナルシティ噴水前のサンプラザステージにて「KANO〜1931海の向こうの甲子園〜」トークライブが行われました。

舞台前は、広場を埋め尽くす人だかりに加え、キャナルシティ上階まで各階ごとにたくさんのオーディエンスでいっぱい!映画のあらすじが紹介されると、さっそくゲスト陣が登場。笑顔の素敵なジーシァン監督を筆頭に、パンキッシュな服装の永瀬さんと可憐なワンピース姿の坂井さんが姿を見せると、フロアにどよめきが起こり、拍手喝采に包まれました。

まず、福岡の印象について「ごはんがおいしい」と話す永瀬さんと坂井さんに続き、「親しみを感じる街ですね」と監督。「今日、坂井さんは日帰りだから、今夜は監督とラーメンを食べにいきます」と笑いをとる永瀬さんの言葉に、会場はなごやかムード。

続いて、本題の映画の話題へ。少年野球チームに所属していたというジーシァン監督。「この作品は日本の占領下における台湾の歴史ですが、同時に日本の歴史でもあります。心と心の通い合いや、夢に向かってみんなで力を合わせて立ち向かっていくという両方の歴史のいいところを肯定し、私たちはそうした素晴らしい歴史に学ぶべきだと思います」と話した後、台湾で先に起こった立法院議院占拠のこと、その期間と重なって上映を観られなかった学生のためにアンコール上映を行ったことなどを伝えました。

それに続いて、役者以外に、写真も撮る永瀬さんは台北で開催した「KANO〜1931海の向こうの甲子園〜」写真展の評判に感謝していること、台北市長主催の映画上映で、小学生たちに「厳しすぎるよ」といわれたというエピソードや現場での思い出について触れ、台湾に思いを寄せます。

「坂井さんと大沢たかおさんと3人で撮影に入ったんですが、現場のみなさんが僕たちをリラックスさせようと日本語を覚えて話しかけてくれるのがすごくうれしかったですね」と話す永瀬さんに、坂井さんも「台湾の撮影現場は、お弁当がいつも温かいし、休憩もしっかりとるという素敵な習慣。見習いたいですよね」と頷く場面も。

最後に、来年1月24日からの日本公開に向けて俳優陣からのメッセージで締めくくられました。「30年くらい役者をやっていますが、グッときてしまって最後まで観れない作品です。なぜ僕が泣けないか、僕の替わりに観てもらえれば意味がわかってもらえると思いますので、ぜひこの映画に触れて、作品を愛していただければと思います」(永瀬)

「人間が熱くて、まっすぐで一生懸命でグッと来る作品です。きっとファンになる部員が見つかると思いますよ。私自身、出演していながら、今日も大泣きしてしまうというこの映画の大ファンなんです。一ファンとして“ぜひ観てください”と言いたいです」(坂井)

「映画館でお会いしましょう」と、盛大な拍手の中、3人ともに笑顔で手を振りながら会場を後に。あっという間の30分。映画と同じ温もりを感じる、交流のひとときでした。

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