アジアフォーカス福岡国際映画祭 2011年9月16日(金)から25日(日)開催!会場:博多駅直結!T・ジョイ博多

・現在注目を集めている優れたアジア映画を世界に紹介していく。
・映画を通して、市民のアジアに対する理解を深める。
・映画を通して、市民レベルでの文化交流、国際交流を推進していく。
・映画界の新しい才能の発見と育成。
・アジアフォーカス・福岡国際映画祭実行委員会/福岡市
市制100周年を記念して1989(平成元)年に開催した「アジア太平洋博覧会」で培われたアジアとの交流の輪をさらに深めるために、翌90年から始まった事業が「アジアマンス」である。「アジアフォーカス・福岡映画祭」は、このアジアマンスの主要事業のひとつとして、91(平成3)年にスタートした。
上映作品の選定にあたっては、映画祭ディレクターが事務局スタッフとともに実際にアジア各地に足を運び、現地調査を行っている。
また作品の上映にあたっては、監督・主演者等をゲストとして招待し、会場でのデスカッションやシンポジウムなどで市民との交流を図っている。
ほとんどの作品が日本初公開となるため、ニュープリントを輸入し、日本語字幕を付けての上映となるが、本映画祭ではさらに、アジア各地から参加するゲスト及び地元の留学生が鑑賞できるように、英語の字幕も付けている。このため、本映画祭で上映した作品が話題となり、世界各地にフィルムが貸し出されて高い評価を得るなど、情報発信の役割りも果たしてきた。映画祭参加がきっかけとなって国内配給されるケース、その才能を認められた監督が日本企業の資金提供を受けて、共同製作が実現するケースも増えている。
アジア映画に焦点をあてたユニークな映画祭であるため、全国のアジア映画ファン、マスコミ、配給会社などからも毎年注目を集めている。
なお96(平成8)年に開館した福岡市総合図書館に、アジア映画や日本映画の名作を中心に調査・研究、収集、保存、公開する映像ライブラリーがあり、2009年3月現在で、これまでの映画祭で招待された延べ421作品中、306作品について同ライブラリーがアーカイブ権を取得し、貴重なアジアの映像文化財として収蔵されている。
毎年9月に開催されるアジアフォーカス・福岡国際映画祭も、今年で21年目となります。始まったのは、まだアジア映画が一般公開される機会にめぐまれない時代でした。そのころ、映画といえば欧米で、優れたアジア映画は、地方のめずらしい特産品のような珍重のされ方でした。そういう時代に、いち早く福岡市が知られざるアジア映画を積極的に紹介してきたという意義は、特筆すべきことです。
そして、古代からアジアに開かれた土地柄ということもあり、福岡市はアジアフォーカスで紹介された多くのニュー・プリントフィルムを英語字幕付きで福岡市総合図書館に収蔵するという、画期的な試みを持続させています。20年間の蓄積の結果、世界でも有数のアジア映画コレクションが、福岡に出現しました。
いまではすぐれたアジア映画は一般館で封切られるようになり、映画祭だけが窓口であるという時代は終わりました。それでも、日本で封切られるのは特定の国に限られ、紹介されない優れた作品がアジア各地にあることに変わりはありません。ですから、当初のような、啓蒙的な役割の必要性がなくなったわけではありません。
しかし、この20年でアジアの変化はわれわれの想像を超えたもので、後進地域の映画を紹介するという方法論では、現在のアジア映画を理解することはできません。成長著しいアジアの意識は、日本人を追い越し、はるか先を行っているのかもしれません。アジアの一員として、アジアフォーカス・福岡国際映画祭は、これから世界の最先端を行くアジアと、さまざまな古い文化に根差すアジアとの、複眼的なつながり方を模索していかなければならないと思います。
一方で、映画のグローバル化は否応なしに進んでいます。できるだけ多くの観客を集めたいのがグローバル化で、そのためにアジア映画であっても、土地や歴史は単なるアジアっぽい記号としてしか用いられなくなります。本来、それぞれの土地や歴史が持っているはずの個別性を失い、万人向けのファンタジーに近づきます。ハリウッド映画の多くはそうです。アジアフォーカス・福岡国際映画祭では、これまでそういう作品を選ぶことはしませんでしたが、できるかぎり、これからもしないつもりです。なぜなら、優れたアジアの作品を選定する基準として守りたいのは、その土地の、その時代の、より深いところから出る声を探すことだからです。
その土地の、その時代の、より深いところから出る声。そういう声を生み出すためには、密度の濃い文化的共同体が土壌として必要ですが、この20年で急速に近代化が進んだアジアでは、文化の個別性はどんどん消滅しています。その後に来るのは、資本主義の下、均一化してのっぺらぼうになったテーマパークのような社会でしょう。そこで作られる映画は、もっぱら消費のためです。グローバル化の大津波に見舞われているアジア映画が、これからどのような変貌を遂げていくのか、それは誰にもわかりません。
芸術としての映画を志すアジアの監督たちは、欧米でそうであったように、故郷を失った孤独な魂の叫び、先鋭的なモダニズムへ向かうのでしょうか。それともまったく違うかたちを選び取るのか。アジアの映画がどのような道筋をたどるのかは、これからの問題です。アジアフォーカス・福岡国際映画祭は、しっかり見定めていきたいと思います。そういう意味で、アジア映画の定点観測地なのです。
アジアフォーカス・福岡国際映画祭ディレクター 梁木靖弘

梁木 靖弘(はりき・やすひろ)
1952年、福岡市生まれ。早稲田大学大学院卒業。九州大谷短期大学教授、国際映劇評論家協会(AICT)会員、早稲田大学演劇映像学会会員、日本演劇学会会員、博多座市民檜舞台の月企画調整委員会などを兼任。新聞などで劇評・書評を多数執筆。著書に「渚のモダニズム」、訳書にジャン・コクトー「映画について」、コンスタン・ミック「コメディア・デラルテ」、フランソワ・リヴィエール「グラン=ギニョル」など。2007年よりアジアフォーカス・福岡国際映画祭のディレクターを務める。
