アジアフォーカス・福岡国際映画祭

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過去のアジアフォーカス

1991年(第1回)

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期 間 1991年9月6日(金)〜13日(金)
会 場 大洋、東映パラス、ソラリアシネマ2
内 容 10か国地域23作品
入場者数 10,724人
オープニング上映 客途秋恨(1990年香港・台湾)

アジア映画だけに焦点を当てた本格的な国際映画祭の第1回であり、同年3月に惜しくも亡くなったインドのG・アラヴィンダン監督の作品8本(児童映画を含む)が特集上映された。亡き監督の子息や撮影監督シャージ氏等多くの関係者が参加し、上映後に観客とディスカッションを行うという福岡映画祭のスタイルがこの時からスタートした。

オープニング上映作品「客途秋恨」は、監督アン・ホイの自伝的要素も加わり湯布院で撮影が行われたが、その時の関係者が舞台挨拶に立った。また香港映画「川島芳子」では、観客のひとりが川島芳子に直接出会ったことがあると発言するなど、九州とアジアとの交流の歴史が深いことが改めて証明される結果となった。
秀作部門で上映された13本の作品は、期せずして家族の離散や故郷の喪失というテーマが浮かび上がる選択となった。「キルソドム」や「バナナ・パラダイス」、「希望の行方」や「サイクリスト」はアジアの今日的な問題を鮮やかに示し、映画がもつ社会的な力を十分に発揮した。また、朝鮮民主主義人民共和国からは学術映画ではあるが1本出品され、来日した監督が韓国のイム・グォンテク監督とパーティーで抱き合うシーンが見られるなど映画人同士の交流が花開いた。児童映画部門では、後に岩波ホールで上映されることになる「青空がぼくの家」等3本が上映され、日本語字幕を付けずに地元劇団の役者によるヴォイスオーバー方式が試みられた。

「アジアの映画人はアジア映画を知っているか」と題されたシンポジウムが開催された。参加した10カ国・地域の監督、評論家、映画祭関係者によってアジア文化における映画の果たす役割や映画製作の難しさ、隣国の映画を容易に見られない現状等さまざまな問題が熱心に討議された。また、トークショー「映画が語るアジア文化」では、インドのサイー・パラーンジペー監督の「福岡にアジアのフィルム・ライブラリーを作っては」という提言が出され、後の福岡市総合図書館映像ライブラリー開設へと繋がっていく。

PROGRAM FOR 1991

※作品名の後にの付いている作品は福岡市総合図書館所蔵

●アラヴィンダン回顧上映
黄金のシーター G・アラヴィンダン監督 1977/インド/Color/87min.
サーカス G・アラヴィンダン監督 1978/インド/B & W/129min.
魔法使いのおじいさん G・アラヴィンダン監督 1979/インド/Color/88min.
エスタッパン G・アラヴィンダン監督 1979・80/インド/Color/93min.
黄昏 G・アラヴィンダン監督 1981/インド/Color/108min.
チダンバラム G・アラヴィンダン監督 1985/インド/Color/103min.
追われた人 G・アラヴィンダン監督 1990/インド/Color/102min.
●アジアの秀作映画
サイクリスト モフセン・マフマルバフ監督 1989/イラン/Color/83min.
希望の行方 サイー・パラーンジペー監督 1990/インド/Color/135min.
囚われの美女ロロ・ムンドゥット アミ・プリヨノ監督 1982/インドネシア/Color/107min.
十月になれば ダン・ニャット・ミン監督 1984/ベトナム/B & W/86min.
李蓮英〜清朝最後の宦官 ティエン・チュアンチュアン(田壮壮)監督 1990/中国・香港 /Color/106min.
客途秋恨 アン・ホイ(許鞍華)監督 1990/香港・台湾/Color/100min.
川島芳子 エディ・フォン(方令正)監督 1990/香港/Color/97min.
バナナ・パラダイス ワン・トン(王童)監督 1989/台湾/Color/145min.
騎馬民族国家・第3編高句麗 パク・キルス(朴吉洙)監督
ソン・チグク(成致國)監督
1990/朝鮮民主主義人民共和国・日本
/Color/70min.
キルソドム イム・グォンテク(林権澤)監督 1985/韓国/Color/101min.
夢二 鈴木清順監督 1991/日本/Color/128min.
ワールド・アパートメント・ホラー 大友克洋監督 1991/日本/Color/97min.
三国志・第一部「英雄たちの夜明け」 勝間田具治監督 1991/日本/Color/137min.
●子どもの映画
子象ちゃん G・アラヴィンダン監督 1984・85/インド/Color/29min.
N・マーダヴァン・ピッライ監督 1991/インド/Color/9min.
青空がぼくの家 スラメット・ラハルジョ・ジャロット監督 1989/インドネシア/Color/105min.
ステファノとグレチェン パク・チョルス(朴哲洙)監督 1990/韓国/Color/115min.

○トークショー「映画が語るアジア文化」(9月10日/イムズホール)
○シンポジウム「福岡映画祭シンポジウム〜アジアの映画人はアジアの映画を知っているか」(9月10日/福岡市役所15階講堂)

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