アジアフォーカス・福岡国際映画祭

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2016年9月15日(木)~9月25日(日)

ニュース

2016.11.24

『ぼくは詩の王様と暮らした』上映後のQ&A -②

『ぼくは詩の王様と暮らした』My Life with a King/フィリピン
監督:カルロ・エンシーソ・カトゥ
(司会・進行は、古山和子氏)

タガログ語と英語が公用語のフィリピン。北部のパンパンガ州では少数派となった土着の文化や言葉を残す風習が守られています。本作はカパンパンガ語で詩をつむぐ老人“詩の王様”と、素朴な若者との交流を温かい視点で描いた物語。受け継がれてきた言葉を次世代に伝えて行きたい、とは本映画祭最年少のカルロ監督。Q&Aでは自らのルーツを交えた熱い語りに観客の皆さんも引き込まれ、伝統と文化の大切さを共有した時間となりました。

司会: とってもステキな映画をお撮りになったカトゥ監督は、実は大変お若いんですよ。しかも、日本由来のお名前をお持ちだそうですね。

カルロ監督: はい、もうすぐ23歳になります。またカトゥという名前は、実は日本語のカトウが由来と聞いています。今回初めて日本、福岡に来て、日本人の素晴らしさを身を持って知りました。ですので、そんな日本人と同じ血が自分に流れていると知って、とても嬉しく思っています。

Q: 初来日ということで、何かを伝えたくて日本にいらっしゃったと思います。今回の経験はいかがでしたか?またその経験をフィリピンに帰ってどう活かしたいですか?

カトゥ監督: 初めてなのに大歓迎を受けて、まるで故郷に帰ってきたようだと感じました。しかも、ここにいらっしゃる皆さんがほとんどご存知ではないパンパンガ州という存在を紹介し、その土着の言葉であるカパンパンガ語、そして伝統や文化、風習の素晴らしさを共有できたことに、大きな喜びを感じています。私は日本にルーツを持っていることも関係しているのか、福岡ではまるで初めてのこととは思えない、どこか懐かしく温かい日々を過ごすことが出来ました。どれも特別で素晴らしい経験ばかり。今後は日本とフィリピン、双方に関係する作品をつくりたいという気持ちがよりいっそう大きくなりましたね。

Q: 言葉が湧き立つように表現されていて、美しく印象的な作品でした。カパンパンガの言葉はフィリピンのフォークロア(民俗風習)とどう関係しているのですか?

司会: 補足いたしますと、脚本も監督がご担当されているんですよ。いつもお兄さんと一緒に行動されていらっしゃいますが、お二人ともお若いのに古く伝わる風習や伝統に関心をお持ちになっていることに驚きました。監督は幼い頃、詩の王様と同世代となる祖父や曽祖父の時代の話を聞いていたのですか?

カトゥ監督: 感想をありがとうございます。実はこの映画を撮るまで、カパンパンガ語による詩の文化をはじめ、パンパンガ州に伝わる伝統や風習を知らなかったんです。私はいわゆる新世代の一員であり、この映画の出演者である“詩の王様”は、先ほど質問をいただきました、フィリピンのパンパンガ州におけるフォークロア(民俗風習)を日常で体験している最後の世代になります。曽祖父、祖父から直接話は聞いたことはありませんが、日常で当たり前だったことが近代化、グローバル化によって、どんどん身近でなくなっていったと聞いています。

Q: カパンパンガ語の詩は韻を踏んでいるのでしょうか?通常、皆さんが使う言葉と違うのでしょうか。劇中では、市長の俗っぽさとの対比を描いていますが、実際にこの映画を製作するにあたって、権力の圧力なしに自由に描けたのですか?カパンパンガ語の素晴らしさを表現するにあたり、何故、詩をテーマにした映画を製作したのでしょうか?

カトゥ監督: カパンパンガ語は独特なリズムがあります。それは実際に映画内で、84歳の詩の女王が、自ら詩を詠んでいるシーンで感じられると思います。まずパンパンガ州に生まれ育ったとしても、私と兄のような新世代はカパンパンガ語を使いません。フィリピンの公用語であるタガログ語、英語を使います。しかし、カパンパンガ語を話せないというわけではないんです。カパンパンガ語を使うと周りから見下されるから恥ずかしい、という思いから使わないんですね。しかし、その親の世代となると家の中ではカパンパンガ語、外ではタガログ語、と分けて使っている人が多いことに気付いたんです。私はそれを知って、罪悪感を覚えました。なぜ、受け継がれてきた伝統や風習、文化を恥ずかしがり、そして人から見下されなければいけないのだろう、と。今、小学校教育でカパンパンガ語を教えていこうという動きも出ています。しかし、圧倒的に教材が足りず、カリキュラムが組めないのが現実です。ですので私は、パンパンガ州に伝わる風習や伝統の素晴らしさ、特にカパンパンガ語という言語、文化を映画を通じて伝えようと試みました。私は映画とは、真実を描くものだと思っています。だから、特に政府等の権力については、特別に意識していませんでした。実際、映画製作にあたって政府は特別何も言いませんでしたし、関係者は驚いて、喜ぶ方も多かったです。
カパンパンガ語において詩をテーマにした理由は、やはりすべての表現が詩だと思ったからです。映画そのものが詩です。もちろん解釈は人それぞれですが、それに詩という表現は合っていると思います。私はこの映画を通して、何かと戦うつもりはありませんし、何か強いメッセージを伝えようとしているわけではありません。映画をご覧いただく、つまり詩を通して受け取った観客の皆さんに、“何か”を感じて欲しいと思っています。

Q: “詩の王様”は実在の人物ですか?

カトゥ監督: はい。彼は実在する本物の詩人です。彼は良くお酒を飲まれるんですよ(笑)。この映画に出演している俳優でプロは一人もいません。王様役の詩人も素人でしたが、フィリピンの映画祭で主演男優賞を獲得したんです!また、主人公の高校生の男の子役も素人ですが、お兄さんがフィリピンでは有名な俳優です。

Q: 映画の導入とラストシーン、火山をバックに流れるカパンパンガ語の詩…とてもマッチしていて、美しいと感じました。噴火する火山の情景と詩の内容がとても溶け込んでいて、スクリーンに見入りました。このシーンにはどんな思いを込めたのでしょうか?

カトゥ監督: ありがとうございます。そのように感じていただいてとても嬉しいです。火山のシーンは大変長い間、撮影しています。撮影クルーには忍耐力が必要でした。しかし、このシーンがとても重要なものになるとわかって、とにかく忍耐して、飽きずに撮影してもらったのです。彼らにはとにかく感謝しています。しかし「この火山こそ、私たちが生まれたところなのだ」という共通の思いを大切にしていたので、結果として質問していたいた方の印象が残ったこのシーンが生まれたと思っています。

※文中の地名・民族はパンパンガ、言語・文化はカパンパンガと表記。

共催
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助成
  • 芸術文化振興基金
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  • 公益財団法人 西日本国際財団
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協力
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