アジアフォーカス・福岡国際映画祭

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2017年9月15日(金)~9月24日(日)

ニュース

2017.09.20

ディレクター懇談①: 『バイオリン弾き』

日常を通して伝える、イスラム文化の温かみ

『バイオリン弾き』英題: Violinist(イラン)
監督・脚本・プロデューサー:モハマド=アリ・タレビ
懇談の様子
イランを代表する監督の一人であるタレビ監督。今まで数多くの名作やテレビドラマを制作してきましたが、今作のクルーは監督、撮影、録音技師のたった3人。「まったくムダがなく、本質だけを表現した密度の高い作品。初めて観た時、これこそまさに映画だ!と思った」と興奮気味に語る梁木ディレクター。熱いラブコールを受けて、本映画祭での日本初上映となりました。

テヘランの街角でバイオリンを演奏する青年の日常を描いた、ドキュメンタリータッチの『バイオリン弾き』。プロデューサーも兼ねているタレビ監督は、「とにかく自由に映画を撮りたかったんです。そのための新しい手法がインディペンデントでした」とにこやかに語ります。数百人規模での映画製作経験もある監督。「ペンをカメラに持ち替えて、映像を描いていくような感覚ですね。小説家と同じです。毎日街に出て青年を追っていく。そしてシナリオを同時に書いていく…。締め切りもない、しがらみもない、こんなに自由に映画を作ったのは初めて」と大きな瞳を輝かせます。
「バイオリン弾き」タレビ監督
てっきり、予算が少ないからインディペンデント映画というかたちで製作したと思っていた梁木ディレクター。「まさにフランスのヌーヴェルバーグ時代の〝カメラ万年筆論〟ですね。だからこそ完全なドキュメンタリーではなく、きわめて自然体に近い一つのストーリー作品として成り立っているのか!」との驚きの表情に対し、「とにかく楽しいんですよ。ハマっちゃいましたね」と茶目っ気たっぷりにタレビ監督は答えます。

しかしこの作品が生まれるにいたっては、タレビ監督の息子さんの事故死という悲しい背景がありました。深く落ち込み、人生になげやりになっていた監督が偶然インターネットで観た映像こそが、今作の主人公の青年、キアヌーシュが街でバイオリンを弾く姿でした。その音色に心を打たれ、街に出て彼に声をかけたこがきっかけで、今作の製作がスタート。日々ともに過ごすことで、今では彼が自分の本当の息子のような存在になったそう。

劇中で彼が弾く曲は、昔流行したイランの流行歌。イランの流行歌にノスタルジーを感じたという梁木ディレクターに「私は日本のクラシックな映画にノスタルジーを感じます」とタレビ監督。日本人とイラン人の感性が似ているというテーマはよく、過去のディレクター懇談でも語られていましたが、今回もその話題で盛り上がりました。

タレビ監督は大の小津安二郎監督のファン。イランでは日本のクラシックな映画や、俳句など日本の伝統文化を学んで映画を製作する若手監督が多いそう。また自国の文化をとても大切にするアッバス・キアロスタミ監督など、イランの映画界を築いた巨匠たちをリスペクトし、彼らの作品から学んでいくやり方が一般的なのだとか。「日本では巨匠に学ぶというスタイルはもうなくなっているそうですね?」というタレビ監督の質問に、梁木ディレクターは渋り顔。「日本は自国にたくさん宝が眠っているのに、それに気付いていない。どの国もそうですが、自国の宝との糸を切ったら文化は死にますよ」と厳しい助言も。
記念撮影
劇中では主人公のキアヌーシュが西洋的な音楽とイランの伝統的な音楽の間で揺れ動きます。音楽や芸術の格付けについても、熱くディスカッションが行われました。「外にばかり目を向けると自国の文化、つまり自分らにも関心を持たなくなる」という点でタレビ監督と梁木ディレクターの意見が一致。本映画祭で数本の映画を鑑賞したというタレビ監督は、西洋的な音楽を使った作品が多いことに驚いたと言います。

「西洋文化にのまれずに日本の若者も伝統や文化から得るものを力にしていってほしい」と言う梁木ディレクターに「大丈夫ですよ。この映画祭があります。しっかりとオリジナルの道を歩んでいます。私にはそう感じられますよ」と、最後に温かい言葉をかけてくれたタレビ監督。現在は映画製作よりも、絵を描くことに夢中で近々、展覧会を開催するそう。「その後は、また同じ手法で作品を製作するよ」と笑顔で語ってくれました。

※作品についてはコチラをご覧ください。

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