アジアフォーカス・福岡国際映画祭

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2017年9月15日(金)~9月24日(日)

ニュース

2017.09.23

ディレクター懇談③: 『フーリッシュ・バード』

中国農村社会の若者が抱える問題を赤裸々に告白
梁木Dと記念撮影
『フーリッシュ・バード』英題: Foolish Bird(中国)
監督・脚本:ホアン・ジー
監督・脚本・撮影・プロデューサー:大塚竜治

本映画祭の会期中、会場のあちこちで親子仲睦まじい姿を見せていたホアン監督と大塚監督夫妻と愛娘・千尋ちゃん。懇談には3人お揃いの映画祭Tシャツを着て登場。和やかムードの中、梁木ディレクターと共に熱いディスカッションが繰り広げられました。

『フーリッシュ・バード』はホアン監督の自伝的要素が詰まった作品。中国南部、閉鎖的な農村社会で、無知がゆえにもがきながら生きる10代の若者たちを描いた物語です。監督が高校時代を過ごした90年代は、インターネット普及前で政府によって情報公開が限定されていた時代。庶民には情報の選択肢が与えられず、特に農村部ではしっかりとした性教育がなされていなかったといいます。情報もなく、判断力もなく、無知による大きな問題を抱えていた少女の一人だった、とホアン監督。
ホワン監督2
しかし「今でも本質は変わりません」とキッパリ。北京の映画学校で脚本学を学び、映画監督となったホアン監督は、里帰りした時に、若者の主体性のなさは昔と全然変わっていないと感じたそう。都会ではこの10数年でめまぐるしい変化がありましたが、農村社会で大きく変化したことといえば、携帯電話の普及。「以前に比べ膨大な量の情報が入ってくるようになりましたが、逆に知識がないだけに情報の取捨選択ができずに、無知と同じ状況を生み出していると感じた」とホアン監督は本作をつくるにいたった経緯を語ります。

「最近の中国映画の中では、ジャンル分けができない作品ですよね。内容も衝撃的だけど、日常の繊細な描写が印象的。やはり、日本人の大塚監督の影響が大きいのでは?」と梁木ディレクター。日本のテレビ番組の撮影やディレクターの仕事をこなしながら、中国を拠点に映画製作を行っている大塚監督は「中国人に見えないもの、または見たくないもの。特に曖昧な部分をいかに見つけて形にするかが私の役割。日々の暮らしのなかで感じたものを映画にしたいんです」とエネルギッシュに語ります。
大塚監督2
夫婦共同で監督を務めた本作。「大塚さんなしでは映画化は実現できなかった!」と顔を輝かせるホアン監督。大塚監督独自の視点がホアン監督の大きな精神的支えとなって生まれたのがこの作品です。ロケ地はホアン監督の故郷。登場人物も全員が親戚を含む村人。「村の人たちは最初は日本人に対して微妙な思いを持っていましたが、大塚さんと触れ合うことで〝日本人の男性は紳士的でステキ!〟とイメージが一変。映画製作にも協力的になってくれました」とニッコリ。

現在、中国では携帯電話に依存している若者ばかり。農村部でも同様で、「携帯一つあれば、世界中どこにでも行ける、と安全な村から出ていかない無気力な若者が増えている」というホアン監督に、「日本人の若者も一緒ですよ。体験してこそ人は成長するんですけどね」と応える梁木ディレクター。

そこで、逆にインターネットが効を奏したこともあったという話が大塚監督から飛び出しました。
「作品完成後、ホアン監督のインタビューとともに本作の予告編の動画をネットで公開したところ、〝私も同じ経験をした〟〝辛かったのは私だけじゃないんだ〟という共感コメントが殺到したんですよ。2日間で約300万ビューに達して、さすが今やインターネット社会、中国だと感じました。まだまだ過去の苦い経験にとらわれて苦しんでいる女性たちがいる。ホアン監督が自分の苦い過去をさらけ出すことで、彼女たちを勇気づけることができたのだと思いました」。

梁木ディレクターが気になるのは政府の検閲。現在申請中だとのこと。政治的表現には特に厳しい中国検閲ですが、意外にも個人の体験を基にした表現はかまわないそう。しかし、「暗さダメ、高校生の性的表現ダメ、未成年の犯罪ダメ…ほとんどダメですね」と苦笑する大塚監督。「しかし個人的な表現でも影響力が出てきたら、検閲もより厳しくなるでしょうね」と真剣な表情で予想します。そして「映画の真のテーマは、都会に出稼ぎに出て行った父母の代わりに祖父母に育てられた、農村社会の留守児童たちの現実です。思春期の身体のことはもちろん、将来への道筋を相談する親が身近におらず、置き去りにされてしまった若者たちは自分が何をしたいのかわからない。選択肢がない。そうした中国の教育社会のおける問題となる核たる部分を、一人の少女を通して描きたかったんです」と続けます。
ホワン監督1
本映画祭も含め、映画撮影時も千尋ちゃんといつも一緒というのも、ホアン監督のたっての願い。同世代の母親たちには驚かれるといいます。そんなホアン監督と千尋ちゃんを優しい眼差しで見守る大塚監督には、オーストラリアで育ったという大きなバックボーンがあり、「大陸への憧れが自分を中国へと向かわせた」といいます。現在は、幼稚園で働きながら映画を製作しているというホアン監督。「日常生活のリズムで映画をつくっていくのが私たちのスタイル」と語る二人に、「面白いよね~、そして新しい!」と梁木ディレクターは感心しきり。
大塚監督1
懇談の最後に、「大塚さんは日本人とも中国人とも違う、心がとても広い人。本当にステキな人なんです」とのホアン監督の熱い告白に「ホアンは勇気のある女性。僕が壁にぶち当たっていると、バーンと大胆に飛び込んできてくれる。本作は二人だからこそ生み出せた世界観です」と大塚監督。ラブラブな二人の言葉に「まさに日中友好ですね」と微笑む梁木ディレクターでした。

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