アジアフォーカス・福岡国際映画祭

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2018年9月14日(金)~9月23日(日)

ニュース

2018.09.20

ディレクター懇談①『なあばす・とらんすれいしょん』シェリーン・セノ監督・脚本

シンプルだけどフクザツ。少女心を繊細に描いたアートフィルム

『なあばす・とらんすれいしょん』 英題:Nervous Translation(フィリピン)

監督・脚本:シェリーン・セノ

 

●聴き手:梁木靖弘ディレクター

笑顔がとってもチャーミングなシェリーン監督。オープニング上映の舞台挨拶には、今作のプロデューサーで映画監督でもある夫、ジョン・トーレスさんと6カ月の愛娘・アキちゃんと一緒に登壇し、会場を沸かせました。「こんな新しいフィリピン映画は観たことがない」と興奮気味に語る梁木ディレクターの開口一番からスタートしたディレクター懇談はなんと終始日本語。シェリ―ン監督の流暢な日本語に会場から驚きの声が漏れました。実はシェリーン監督は18歳まで東京に住んでいたんだそうです。

『なあばす・とらんすれいしょん』は空想の世界に入り込み、一人遊びに没頭する8歳の内気な少女・ヤエルが主人公。楽しみは中東で働く父親が母親にあてたメッセージをラジカセで盗み聴きすること。自分に冷たい母親と2人で暮らすヤエルの心の機微を繊細に描いた物語で、自らも内気だったというシェリーン監督の実体験がモデルとなっています。

「シンプルなストーリーだけどすごく手がこんでいますよね」と梁木ディレクター。「 靴や、玄関ドアを派手に開け閉めする映像でさりげなく外と内の世界を見せたり、テレビ番組を使って登場人物の心の願望を表したり…細部にこだわった描写は日本人の感覚に近いかも。すごく練られた作品で観るたびに違う解釈が生まれてくる」と感心しきり。構想に5年という長い歳月をかけたというシェリーン監督は全体像を決めてからコツコツと形にしていったと言います。舞台となる80年代のモノで統一した美術品も一つひとつ集めていったとか。中でも際立っているのはミニチュアの家具。

「ミニチュア家具は大人と子どもの気持ちのスケール感の違いを表しています」とシェリーン監督。父親が母親にあてたメッセージを盗み聞きしながら、ヤエルがミニチュアキッチンで指先ほどの小さな料理を作る印象的なシーンについて、梁木ディレクターの「ちょっとセクシャルな感じがしました」という意見に、「そのつもりで撮りました。ガールズクッキングって大体セックスを意味するものですから」とキッパリ。梁木ディレクターも思わず目を丸くしていました。

映画のアイデアは夢から生まれたものも多く、今作のハイライト、“にんげんペン”も実際見た夢だそう。夢を形にするのは難しく、構想期間が長くなったと言います。「苦労は?」との問いにシェリーン監督は「すべてです」と即答。「頭の中のイメージをなかなか理想の形として表現できず、常にイラついていましたね」とニコやかに振り返ります。

そんなシェリーン監督が影響を受けたのは、スペインのビクトル・エリセ監督、トルコのヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督、ソ連のアンドレイ・タルコフスキー監督などアート映画の巨匠たち。名前を聞いて梁木ディレクターは深くうなずき納得していました。最近ではインディーズ出身の清原惟監督のデビュー作『わたしたちの家』が印象に残ったそう。フィリピン映画界では、個人映画の先駆者、キドラック・タヒミック監督を尊敬し、本映画祭でも上映されたフィリピン映画『影の内側』のラヤ・マーティン監督が大好き、と語った後で「あ、一番好きな人は……」と、夫の今映画のプロデューサーであり、監督でもあるジョン・トーレスさんの名前を付け加えていました。

フィリピン映画の二大巨頭と言えば、ブリランテ・メンドーサ監督やラヴ・ディアス監督。「フィリピン映画はエロスでも暴力でも徹底して撮り切り、生命力が強いイメージがありますが、その中で『なあばす・とらんすれいしょん』がポッと出て来たことに衝撃を受けたんですよね。フィリピンでもアートムービーをつくる人が出て来た!って」と嬉しそうに語る梁木ディレクター。母国で公開時、反応は様々だったそうですが、若いミレニアル世代や映画通たちから圧倒的な支持を受けたことに驚いたとシェリーン監督。「フィリピン人は映画が大好き。創る人も観る人も多いので、いろんなジャンルがあっていいのでは?」と冷静に語ってくれました。

本作は、本映画祭の後にはイギリス・ロンドンの近現代美術館、テート・モダンでアート作品として上映される予定で、来年2月に東京で一般公開も決定しています。「ビッグアーティストになっても福岡のこと忘れないできっと戻ってきてくださいよ」と梁木ディレクターの言葉に、照れながらも笑顔で応えていた姿が印象的でした。

 

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