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2018年9月14日(金)~9月23日(日)

ニュース

2018.09.20

ディレクター懇談③『冥王星の時』チャン・ミン監督

自分の魂を救うために、時間と距離を遡るロード・ムービー

『冥王星の時』英題:The Pluto Moment(中国)

監督:チャン・ミン(章明)

 

●聴き手:梁木靖弘ディレクター

中国第六世代の監督を代表する人物の一人であるチャン・ミン監督。物静かなたたずまいに鋭いまなざしが印象的な監督ですが、とても饒舌家。初対面の梁木ディレクターと予定時間をオーバーする程、懇談は盛り上がりました。

チャン監督の実体験をベースに製作された今作。主人公の映画監督・ワンのように、監督自身も作品にインスピレーションを得るため、10年前に山奥の農村に赴いたといいます。派手な商業映画界から逃れるように大都会・上海から、古くからの因習が残る山地へ向かう主人公。「これは彼の魂を救うための旅を描いた物語です」とチャン監督。「すごく謎めいていていろんな解釈ができる作品ですが、まるで時間と距離が逆行しているように感じました」と梁木ディレクターに「おっしゃる通り。良く映画をご覧になっていただいていますね」とチャン監督はニッコリ。今作はイギリスの小説家、ジョセフ・コンラッドの小説『闇の奥(英題:Heart of Darkness)』に大きな影響を受けていると語ります。

主人公一行それぞれが闇を抱え、答えを求めてさまようように旅を続けますが、作品中では明確な答えは提示されません。「私が農村に行った当時は何も得られませんでしたが、今こうしてここにいるということが答えなのかも」とチャン監督。どこまでが監督の実体験なのかが気になるところですが、「映画は映画」と前置きした上、農村での登場人物は実際会った人をモデルにしたといいます。

登場人物の中で、際立っているのが主人公をとりまく女性たち。実は撮影段階で主人公が女性プロデューサー、若いカメラマン女性双方と肉体関係を持つシーンをすべてカットしたそう。「直接的な表現はないものの、都会から山奥へと遡るほどエロティックになっていく。時間と距離を遡ると同時に、男女の関係も根源的なところへと向かって行く感じがしましたね」と語る梁木ディレクターが一番印象に残っているのは、農村で出会った女性が主人公の足を洗う時、洗面器の水をこぼしたシーン。「床のすき間からしずくが落ちて、階下のベッドに横たわった女性が興奮を静めるかのように、しずくを一滴ずつ受け止める。それだけですが、すごくなまめかしいですよね」と感心する梁木ディレクターに「実は偶然で、あれは脚本になかったんですよ」と応えるチャン監督。撮影現場で女優が誤って洗面器を倒してしまったことで、出来上がったシーンなのだそう。

 

どんどん出てくるチャン監督の「実は…」話。実は、冒頭の上海のシーンはラストシーンに持ってくる予定だったと秘話を明かしてくれました。編集段階で「主人公にとって、上海の現状をラストに置くと絶望しかない。冒頭に置くことでほのかな希望が見出せる」とのプロデューサーの言葉を受け、さまざまな人の意見を聞いた上で編集の最終段階ギリギリまで悩み抜き、冒頭に置くことを決断したとのこと。また今作の構想時、大都会の上海のシーンでは昼か夜か観る側に区別がつかないように撮影をしてほしいとカメラマンにお願いしたところ、技術的に不可能だと言われてしまい、闇を抱える主人公が話す場面は夜、エンタメ映画界で活躍する元妻が話す場面は昼という細かい演出にこだわったと語ります。

「監督の作品には明と暗、時間、距離、セクシャリティなどいろんな曖昧さがあって、正解はない。現代社会は何でもすぐ答えが出るようになってしまっているので、映画では観る側が自分で解釈できるようにしておきたい。もっと、自分で観て自分で考えるような作品が出てきてほしいですよね」という梁木ディレクターの言葉に「今はスマホで即時になんでもわかり、わかった気分になる時代。映画を観ること自体が古典的になり、そのうち思考するということが人類からなくなり、ロボットにとってかわられるんじゃないですかね」とサラリと予言するチャン監督。「実はこのテーマにとても興味があって、さっき会場近くの店でロボットと記念撮影してきたんです(笑)。次回作はその要素を含んだ作品にしたい」と意欲的に語ってくれました。

中国では年間700~800本もの映画が製作されているそう。そんな中で優れた作品と出会う方法を梁木ディレクターにアドバイス、映画祭の重要性などを語り合った二人はすっかり意気投合。最後に再会を約束して、笑顔で固い握手を交わしました。

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