2018.09.22
『別れの花』Q&A
『別れの花』Malila: The Farewell Flower
(2017年/タイ/99分) 監督:アヌチャー・ブンヤワッタナ
Q&Aゲスト:アヌチャー・ブンヤワッタナ監督、ドン・サロンプロデューサー
司会:梁木靖弘ディレクター
実施日:2018年9月17日
(※ネタバレあり)
Q:3つの遺体が衝撃的でした。最初は夢の中のようなものでしたが、後半は、托鉢するシーンなど写実的でした。タイの仏教についてはわかりませんが、後半の方がより訴えたいものがあったのでしょうか?
アヌチャー監督(以下A):遺体を見つめるという事に集中しました。遺体を見つめて集中するというやり方は今でもタイではある事なのです。
ドンサロン(以下D): もしかしたら、こういった習慣は不思議だと思われるかもしれませんね。今のタイでは遺体を見つめる事はなくなってきましたが、少しは残っています。
Q:後半はインパクトがありました。子ども、蛇、撃たれた人の死体にはリアリティーがありました。あれは本当の死体を使ったのでしょうか?
A:実際は人形です。細かく細工し、死がリアルに見えるようにしました。後半は死について語っているので、見る方に死を感じてもらうようにしました。
司会:人形だったんですね~、知らない方がよかったかもしれませんね。
Q:すごくいい作品でした。横たわってる遺体。見ている男性、でも女性のようにも見える。それが監督のセクシュアリティーに関係しているか教えてください。
A:死体の模型を作る時、色んな死体の写真を見ました。男性の性器は死んだらそういう風になるのかと思ったりしながら。僧侶の性は実は関係がなく、男女どちらにもなり得るという事を表しました。
司会:死というものに愛という横糸が通っているように見えましたね。
A:見る方によって違うと思いますね。
Q:透明感がありました。心が浄化するよう気持になり、3年前に監督の作品を見た時と同じように感じました。監督は水をよくカメラワークを駆使して映してらっしゃると思いました。雨に打たれて転生して、森の湖で生まれ変わるところなど。水を使う事について、どのように考えていらっしゃるのでしょうか?
A:水を使う演出が好きですね。観客にいろんな解釈をしてもらえると思っています。
司会:川面に写る景色がとても美しかったです。自然を撮影する上で、例えば稲光はとても難しいと思いますが、撮影は時間がかかったのではないでしょうか?
A:難しかったです。撮影中は雨期でしたしとても時間がかかりました。ですので撮影は2回に分けました。後半と前半というように。
客席からは、作品に対する率直な質問が多く出ていました。どの質問にもにこやかに答えていらっしゃる監督とプロデューサーでした。