概要
1991 年に始まったアジアフォーカス・福岡国際映画祭は、今年30 回目の記念すべき節目を迎えたが、新型コロナウィルス感染症の影響により、開催自体も危ぶまれた。幸い開催にはこぎつけたものの、開催内容の変更を余儀なくされた。ゲスト招聘が困難であったため、レッドカーペットやQ&A、サイン会といった観客との交流イベント、映画に関する様々なテーマを考察するシンポジウムなどの実施を見送り、上映プログラムのみの実施となった。また、安全・安心に映画を鑑賞するため、マスクの着用及び手指消毒、座席の間引きといった、感染症対策を行ったうえでの開催となった。
オープニングは2018 年福岡市内でオールロケを行い、2019 年本映画祭で日本初上映したチャン・リュル監督『福岡』の再上映。ただし、今年の映画祭では、チャン・リュル監督が「実はこちらが本命」と語るモノクロバージョンを上映するとともに、チャン・リュル監督から観客に向けたメッセージ動画を上映した。
アジアの監督特集上映は、福岡が全国に先駆けて紹介してきたタイのアノーチャ・スウィチャーゴーンポン監督特集を実施。「モダニズムのむこうの永遠」と題し、タイ・アート映画界を牽引する知的俊英の全貌を、長編全3 本、最新作を含めた短編集の、計4本で紹介した。映画祭直前に産まれたお子さんとともに撮影した、監督からのビデオメッセージが流れると、会場が温かい雰囲気に包まれた。
コロナ禍における新たな試みとして、車に乗ったまま映画鑑賞ができるドライブインシアターを実施。家族で楽しめるよう福岡を本拠地とするゲーム企業が製作したアニメーション映画『二ノ国』を上映した。
これまで実施していた舞台挨拶の代わりに、公式招待作品の監督から寄せられたビデオメッセージを本編上映前に流すとともに、本映画祭にゆかりのある監督たちから「コロナ禍のアジア映画」をテーマにビデオメッセージを作成してもらい、映画祭YouTube にて公開するなどの取組みを行った。